イソギンチャク4種新発見…しかも「新属」「新科」 専門家「鹿児島の海の多様性示す証拠」 元かごしま水族館職員らの研究グループ

イチゴカワリギンチャク(泉貴人さん提供、大森紹仁さん撮影)

オオカワリギンチャク(泉貴人さん提供)

アバタカワリギンチャク(泉貴人さん提供)

 アバタカワリギンチャク(泉貴人さん提供)

 元かごしま水族館職員で日本大学生物資源科学部の藤井琢磨専任講師と福山大学海洋生物科学科の泉貴人講師らによる研究グループは6月30日、新種の深海性イソギンチャク4種を発見したと発表した。国際学術誌「Diversity」のオンライン版に13日から公開されている。
 新種は、鹿児島近海や和歌山県から三重にかけての熊野灘などで採取されたリンゴカワリギンチャク▽イチゴカワリギンチャク▽オオカワリギンチャク▽アバタカワリギンチャク。
 藤井専任講師らは10年以上前から各地で採取活動を続けながら、全国の水族館などの協力を得て多数の標本を収集。集めた個体の形状を比較したり、DNA型鑑定したりして研究を進めてきた。
 それぞれの遺伝子の構造や配列を解析した結果、新種と、既に甑島沖で確認されていたヨツバカワリギンチャクなどを含む計11種の中には、従来の分類では種より上の分類階級である「科」と「属」に該当しないものがあると判明。このため分類体系を見直し、新科「ヨツバカワリギンチャク科」と新属「カワリギンチャクモドキ属」を設けた。
 大きな分類のくくりである「科」レベルで新しい分類群が発見されるのは珍しいといい、藤井専任講師は「この発見で、鹿児島にはこれだけ多様性にあふれた海があることを示す証拠が、また一つ見えた。これからも鹿児島の海の多様性を解き明かしていきたい」と話した。

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