コンクリートブロックが投入される大隅海峡のマウンド礁建設現場(水産庁提供)
なにがどうなって魚が増えるのか?「人工海底山脈」の仕組みをイメージ図で解説
大隅海峡で人工海底山脈(マウンド礁)の整備が進んでいる。国の特定漁港漁場整備事業として2017年度から始まり、現在の進捗(しんちょく)は約7割。整備によって餌となるプランクトンが増加し、周辺で取れる魚が大きくなった実例がある。水産庁は25年度の完成を目指す。
事業は国内の海洋漁業で取れる3割を占めるマサバ、マアジ、マイワシの資源回復が目的。鹿児島県の大隅半島と種子島に挟まれた大隅海峡は、対象魚種が豊富で産卵場もあるため事業地区に選ばれた。
マウンド礁は水深109メートルの海底に石とコンクリートブロックを積み上げてできる。長さ226メートル、幅60メートル、高さ17メートル。水産庁によると、設置後は海底から上昇する水流が生まれ、沈んでいる栄養分が上層に運ばれる。魚の餌となるプランクトンが増え、魚の生育環境改善につながる。
既に設置されている五島西方沖(長崎)では、整備前に比べ漁獲されたマアジの体重が1.5倍になったり、漁獲量が増えたりと効果が表れているという。
当初は21年度までの5年計画で総事業費37億円だったが、気象や潮流といった条件の悪さに加え、原料と人件費の高騰などによって計画を変更。期間を25年度までに延長し、事業費は61億円になった。
水産庁漁港漁場整備部の浜崎宏正整備課長補佐は「設置によって漁業者の所得向上につなげたい」と話した。
コメント