ニホンウナギ完全養殖へ期待高まる…鹿児島県が稚魚生産に成功 都道府県では初めて

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県水産技術開発センターで変態が確認されたニホンウナギの稚魚(同センター提供)

 鹿児島県は、県水産技術開発センターで進めているニホンウナギの種苗生産に向けた実証試験で、ふ化後の仔魚(しぎょ)から稚魚へ育てることに成功した。都道府県の飼育試験としては初。稚魚の大量生産システム確立への期待が高まる。
 県が13日、発表した。ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されており、天然のシラスウナギ(稚魚)の採捕量は減少している。資源を守るために完全養殖へ向けた研究も官民で進められているが、人工ふ化後に稚魚まで育てることが難しく、完全養殖による生産体制はできていない。
 同センターによると、1月20日に水産研究・教育機構志布志庁舎で人工授精・ふ化させた2万4000匹の仔魚を受け入れた。餌のやり方や水槽の清掃方法、水温などの環境といった育てるための技術移転を受け、飼育を開始。ふ化から132日目にあたる5月27日に初めて1匹が稚魚に変態したことが確認された。
 7月11日までに計117匹の変態が確認された。通常、仔魚が稚魚に変態するのにかかる日数は150~330日程度とされる。現在、仔魚は約3000匹残っており大量に死ぬ時期も過ぎているため、今後ある程度の数量の稚魚が確保できることが期待されるという。
 これまで国や民間で飼育の成功例はあるが、都道府県では成功しておらず、量産体制構築への課題となっていた。同センターの西野博所長は「県レベルで飼育が可能となったことは商業化に向けた一歩になる。まだ、変態していない仔魚も多く残っており、今後の積み増しも期待している」と話した。

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