他国から武力攻撃…どうなる全町民1万1700人の島外避難 屋久島で県内初の実動訓練 オスプレイ事故対応で一部縮小 鹿児島

入院患者の搬送を訓練する消防隊員=21日午前9時20分、屋久島町宮之浦の屋久島徳洲会病院

 入院患者の搬送を訓練する消防隊員=21日午前9時20分、屋久島町宮之浦の屋久島徳洲会病院

〈関連〉自衛隊ヘリに患者を運ぶ訓練をする関係者=21日午前10時すぎ、屋久島町の宮之浦陸上競技場

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入院患者の搬送訓練をする病院スタッフ=21日午前9時すぎ、屋久島町宮之浦の屋久島徳洲会病院

 入院患者の搬送訓練をする病院スタッフ=21日午前9時すぎ、屋久島町宮之浦の屋久島徳洲会病院

 他国から武力攻撃を受ける事態を想定し、鹿児島県・屋久島の住民を本土に避難させる県内初の実動訓練が21日あった。自力で避難できない島内の高齢者や患者らを輸送する手順などを確認。県庁での図上訓練を含め、政府や県、屋久島町など約50機関約300人が参加した。
 訓練は政府が「武力攻撃予測事態」を認定し、県が国民保護法に基づいて全町民約1万1700人に避難を指示したと想定。同町宮之浦の特別養護老人ホームや病院では、入院患者役らを救急車などに乗せ、宮之浦港や自衛隊ヘリコプターが待機する陸上競技場に運ぶ流れを確かめた。
 訓練は当初、口永良部島を含む住民約300人が参加予定だったが、町が昨年11月の米空軍輸送機CV22オスプレイ墜落事故の対応に追われるなどしたため、見送った。
 親子3人で陸上競技場でのヘリ搬送を見学した同町春牧のデザイナー、藤本瞳さん(36)は「訓練自体はいいことだと思うが、そういう事態にならないよう国として努力してほしい」と話した。
 県庁には危機対策本部を設置し、関係機関と連携しながら島民を誘導する手順を点検。妊婦やインフルエンザ患者搬送の要請なども訓練した。終了後、国士舘大学の中林啓修准教授(危機管理学)は講評で「住民に対する適宜の情報発信が重要になってくる。次回からの大きな課題にしてほしい」と指摘した。

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