反撃能力の地元配備に4町村「賛成」 10町村が自衛隊関連施設を誘致意向 安保3文書改定で鹿児島県内首長アンケ

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【関連表】南西防衛の主な強化

 【関連表】南西防衛の主な強化

 南日本新聞が実施した安全保障関連3文書に関する鹿児島県内首長アンケートでは、政府が保有を決めた反撃能力(敵基地攻撃能力)となる長射程ミサイルの地元配備について、中種子町、宇検村、瀬戸内町、伊仙町の4町村長(9.3%)が賛成と答えた。
 反対は西之表市、大崎町、屋久島町、大和村、与論町の5市町村(11.6%)。鹿屋市など31市町村(72.1%)は「仮定の話でコメントできない」などとして、「どちらとも言えない」とした。
 反撃能力は12式地対艦誘導弾の長射程化などで保有する。現行の12式が陸上自衛隊瀬戸内分屯地にある瀬戸内町は、長射程化が「他国からの攻撃の抑止になる」と賛成し、「防衛省による具体的な説明が必要」と求めた。中種子町、宇検村、伊仙町は国が適地とした場合、防衛力強化のために受け入れると回答した。
 反対の理由では大崎町、屋久島町、大和村が「標的となり危険」などと指摘。西之表市は「専守防衛」、与論町は「場所の確保が難しい」と答えた。
 政府は南西方面の部隊や施設に加え、港湾などのインフラも大幅に強化する。十島村、さつま町、長島町、湧水町、中種子町、瀬戸内町、徳之島町、天城町、伊仙町、知名町の10町村(23.3%)は関連施設の誘致意向を示した。
 西之表市や奄美市など9市町村(20.9%)は誘致意向はないと答え、薩摩川内市や霧島市など21市町村(48.8%)は「どちらとも言えない」とした。
 誘致理由について、西之表市馬毛島の基地計画に伴う隊員宿舎の建設準備が進む中種子町は「外国からの危機を最小化する」、十島村は「港湾などのインフラが整備されるなら、ぜひ誘致したい」と回答。
 湧水町は陸自えびの駐屯地(えびの市)周辺3市町と存続活動をしており、全国で130庫が新設予定の弾薬庫の誘致に前向きとした。
 空自沖永良部分屯基地がある知名町は「標的となる可能性があるため、迎撃能力が必要」と回答。さつま町、長島町と徳之島3町は地域振興になるなどとして官民で誘致を続けている。
 県は「誘致の意向はない」とした。
 【安保関連3文書】
 国家安全保障戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画(中期防)からなる。外交・安保戦略の指針として2013年に初策定された国家安保戦略では、自衛隊の海外展開を図る「積極的平和主義」を基本理念に明記。防衛大綱は10年間を想定して防衛力整備の指針や部隊運用などを定めているが、今回の改定で防衛目標の達成に向けた手段を包括的に示すことに焦点を当て、名称を「国家防衛戦略」に変える。中期防は対象期間を防衛戦略と合わせて5年から10年に変更し「防衛力整備計画」と改称する。

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