姶良カルデラ マグマ蓄積量10〜18立方キロ 大正噴火噴出量の約10倍 京大・井口教授ら推計

2022/04/29 11:00

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図・姶良カルデラのマグマだまり

 京都大学防災研究所の井口正人教授らのグループが、姶良カルデラ下にある桜島の主要なマグマだまりのマグマ量を10〜18立方キロと推計したことが28日、分かった。地震波データから分析した。大正噴火で噴出した量の約10倍が存在することになる。桜島のマグマだまりの体積が具体的に分かったのは初めて。
 井口教授は「桜島は大正噴火クラスの噴火を起こす準備ができている」と説明する。大正噴火より大規模になる可能性について、確実なことは分からないとしつつ、地下浅いところに多量のマグマがある訳ではなく「差し迫った状況ではない」としている。
 桜島のマグマは姶良カルデラ中心部の地下15キロ付近に多くたまり、火山直下の1〜3キロに移動することが分かっている。井口教授らは姶良カルデラ下のマグマの体積について、地震波が通過することの多い地下15キロの深さまで調査した。横揺れの地震波であるS波がマグマなどの流体を伝わる時にスピードが遅くなる性質を利用。自然の地震で発生したものや、ダイナマイトを使い人工的に起こしたものなど約3万の地震波を分析した。
 大正噴火時のマグマ噴出量は約1立方キロとされており、少なくとも10倍の量が存在することになる。桜島は現在、1914(大正3)年の「大正噴火」時の噴出量の約9割が再び蓄積しているとされるが、総量は分かっていなかった。姶良カルデラの縁にあたる鹿児島湾北部沿岸では、大正噴火時に50センチ以上地盤沈下したが、現在は隆起して元の高さに戻りつつある。
 井口教授によると、日本でマグマだまりの具体的な推定体積が分かった例は初めて。海外ではアメリカのイエローストーンなどがある。

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