年金月10万円の80代母、待機1年で「特養」入所決定!歓喜した50代長女、半年後に「鬼の形相」を浮かべたワケ

介護が必要になった親。自宅で介護を続ける手もありますが、仕事をしている場合、両立はかなり大変。そこで「老人ホーム」に入所するという手もありますが、入所したらそれで終わりとは限らないようです。みていきましょう。

年金月10万円の80代母、待機1年で「特養」入所決定!歓喜した50代長女、半年後に「鬼の形相」を浮かべたワケ

入所待ちは当たり前…大人気の特別養護老人ホーム

厚生労働省によると、地域密着型を含む「特別養護老人ホーム(以下、特養)」の入所申込者(入所を申し込んでいるものの、調査時点で当該特別養護老人ホームに入所していない人)は、2022年4月1日時点、要介護3以上の人で25.3万人。そのうち、どこの施設にも入らず、在宅で待っている人が10.6万人でした。3年前の調査よりも全体では13.5%の減少、在宅の人に限ると9.1%の減少でした。

さらに都道府県別にみていくと、最も申込者が多いのは「東京都」で2万1,495人。「神奈川県」「兵庫県」「大阪府」「千葉県」と続きます。うち在宅が多いのも「東京都」で1万0,029人。「神奈川県」「兵庫県」「大阪府」「京都府」と続きます(関連記事『都道府県別「特養入所待機者」ランキング…〈特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)〉』)。

また申込者のうち、在宅の割合が多いのは「山梨県」で申込者の59.1%が在宅で待機。「京都府」「秋田県」「岐阜県」「神奈川県」と続きます。

さらに要介護3に占める特養申込者の割合をみていくと、最も割合が多いのは「山梨県」で26.7%。「滋賀県」「島根県」「秋田県」「広島県」と続きます。一方で最も割合が少ないのは「大阪府」で5.9%。「埼玉県」「愛知県」「群馬県」「徳島県」と続きます。

入所待ちの行列ができると揶揄される特養。地域によって状況は異なりますが、少しずつ改善へと向かっているよう。しかし、いまだに入所したいけど入れない……そんな高齢者が大勢いるようです。

「80代の母が特養への入所が決まった」と、喜びの声を投稿した50代の女性。その母親は自宅で転倒、骨折を機に入院。それ以来、寝たきり状態となり、要介護3の認定を受けたといいます。女性には兄と弟がいたものの、女性だけ未婚で実家暮らし。自ずと母の介護は女性の役割となったとか。ただ仕事と介護の両立は難しく、ケアマネージャーからも母親を施設に預けることを提案されたとか。母の年金は月10万円程度。貯蓄なども考慮して、入所費用の安価な特養に申し込んだものの「すぐの入所は難しい」と言われて1年。念願かなっての入所だったといいます。

特養は原則「要介護3以上」が入所条件。「要介護2」になると…

厚生労働省『令和4年就業構造基本調査』によると、1年間で介護を理由に介護離職をした人は10万人以上にものぼり、そのうち女性が8割を占めています。また介護に直面すると誰にも相談せず、肉体的にも精神的にも追い詰められてしまう人も多いといいます。地域包括支援センターやケアマネージャーに相談することが仕事と介護の両立の第一歩です。

ただアドバイスの通り、特養に申し込んでも入所待ちとなると、なかなか大変なもの。それだけに女性が歓喜したのも納得かもしれません。ただこの話には後日談があり、母親の特養入所の報告から半年ほど経ったあと

――母が特養から追い出される!

と悲痛な叫び。なんでも要介護3だった母親が、要介護2になったのだとか。それに伴い、施設側から「退去してほしい」と申し出があったといいます。

――いまさら自宅で介護なんて、絶対無理!

――施設長と話したとき、きっと鬼の形相だった……わたし

――母の状態が良くなったのは嬉しいことだけど…複雑

特養は特例として、要介護1、要介護2の人が入所できるケースもありますが、原則として要介護3以上の人が利用できる施設。入所後に介護状態や心身状態が回復し要介護度が2に下がった場合は、退所しなければならないこともあります。

要介護2になっても施設に空室があったり、特例入所の条件を満たしていれば、退去要請はない場合も。また要介護2の認定結果に対し、「介護保険審査会に不服申し立て」を行ったり、「区分変更申請を行い再調査」という方法も。

それでも退去が決まってしまったなら、再び在宅での介護を覚悟するか、転居先を探すかの二択。女性の母親の場合は後者を選択しようか、迷っているところだといいます。特養の魅力はなんといっても費用。それを民間の施設で実現しようとなると……なかなか難しいようです。

[参考資料]

厚生労働省『特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)』

厚生労働省『令和4年就業構造基本調査』

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