徳之島空港に飛来した空自輸送機C2、重量制限の6倍で使用届出す 元事故調査官「なし崩しの利用拡大 非常に危険」

隊員を乗せて降り立った自衛隊のC2輸送機=10日、天城町の徳之島空港

【別カット】隊員を乗せて降り立った自衛隊のC2輸送機=10日、天城町の徳之島空港

隊員を乗せて降り立った自衛隊のC2輸送機=10日、天城町の徳之島空港

10日、鹿児島県の徳之島や奄美大島など全国で始まった自衛隊統合演習で、徳之島空港(天城町)に飛来した航空自衛隊のC2輸送機は、同空港の重量制限(24トン)の6倍の141トンで鹿児島県に使用届が出されたことが分かった。県は国際基準に照らし安全性を確認し許可を出したが、航空安全の専門家は「あくまで緊急的な許可として例外中の例外とすべきだ。なし崩しの利用拡大は非常に危うい」と指摘する。
 県港湾空港課によると、機体の重量が各空港で定める制限を超える場合、国際民間航空機関(ICAO)の基準を用いて試算。滑走路に与える重さや耐えられる力を算出した上で、国が示す基準値を満たすかで許可の判断をする。
 今回のC2は、積み込める最大規模の重さで申請。県の試算では理論上、徳之島で連日複数回の離着陸もできる「無条件で運航可能」な値となっているという。
 C2は幅44.4メートル、全長43.9メートルで機動戦闘車など最大約30トンを積載できる輸送の主力機。運用が始まった2017年以降、県内には複数回飛来している。政府は台湾有事を念頭に、自衛隊による民間空港の利用を拡大する方針を示しており、今後の飛来増も見込まれる。
 国交省運輸安全委員会で統括航空事故調査官を務めた楠原利行さん(74)=鹿児島市=は「十分な安全性を担保する民間と、任務ができるかで判断する軍事利用は根本的に違う」と話す。その上で「例外措置が恒常化すると、民間で積み上げた安全性が形骸化する。滑走路の耐久性などの懸念も拭えない」と強調した。

コメント