桜島大正噴火 12日で110年 噴火につながるマグマの蓄積続く 専門家「早急に広域避難計画の策定を」

活動が続く桜島の南岳山頂火口(中央)と昭和火口(その手前)=8日、本社チャーター機から

 活動が続く桜島の南岳山頂火口(中央)と昭和火口(その手前)=8日、本社チャーター機から

【図解】今何が起きているのか―桜島とマグマの関係を分かりやすく解説

 【図解】今何が起きているのか―桜島とマグマの関係を分かりやすく解説

 犠牲者58人を出した1914(大正3)年の桜島大正噴火から12日で110年の節目となる。桜島では年間の爆発回数は2021年から100回を下回るが、噴火活動につながるマグマの蓄積は続いている。大規模噴火が発生すると、風向き次第で鹿児島市街地でも大量の軽石や火山灰の堆積が想定され、専門家は広域避難計画を早急に策定するべきだと指摘する。
 鹿児島地方気象台によると、桜島で23年に発生した爆発は89回。5年ぶりに噴火した昭和火口で4回、南岳山頂火口で85回だった。22年7月に噴火警戒レベルが初めて最高の5(避難)に引き上げられた。同年は85回、21年も84回で、15年737回を境に減少する。
 県と鹿児島、垂水、霧島、鹿屋の周辺4市などでつくる桜島火山防災協議会は23年3月に噴火シナリオを作成。県は今年6月をめどにシナリオに沿った広域避難計画の素案をまとめるため、周辺4市に姶良市を加えた5市と協議している。
 京都大学防災研究所によると、桜島は1993年からマグマ蓄積期に入った。同研究所の井口正人教授は既に大正噴火級を起こすだけのマグマが蓄積されているとし「大規模噴火では広域避難計画が不可欠。県が主導して早急に策定すべきだ」と強調する。
 大正噴火では流れ出た大量の溶岩で桜島と大隅半島が陸続きとなり、鹿児島湾を震源とするマグニチュード(M)7.1の地震も起きた。

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