見た目でミカンの甘さは判別できる? 3つの選び方を糖度で比較 甘いミカンの特徴とは

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使用するミカンは熊本県産の「肥のあけぼの」【写真:Hint-Pot編集部】

 冬の代表的な果物のひとつ、ミカン。手で皮をむける気軽さがあり、つい何個も食べてしまいますよね。家族が多い場合は、箱やキロ単位で買うこともあるでしょう。せっかくなら、甘いミカンを選びたいものです。そこで今回は、3つの見分け方でミカンを選別し、糖度の違いを検証します。

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甘いミカンの特徴 「形」「ヘタの色」「表皮の油胞の大きさ」で選別

 今回は、同じ産地・品種・サイズのミカンを用意し、形、ヘタの色、表皮の油胞(ゆほう)の大きさで選り分け、糖度を計測。見た目の違いで、糖度にどのくらいの差があるのか比較します。

 使用するミカンは、熊本県産「肥のあけぼの」のSサイズ9個。9月から10月に収穫される極早生ミカンで、しっかりした甘さに適度な酸味が感じられる、人気の品種です。

特徴に顕著性がないミカンの糖度を測定する【写真:Hint-Pot編集部】特徴に顕著性がないミカンの糖度を測定する【写真:Hint-Pot編集部】

 まずは次の検証条件に合うミカンをそれぞれ1個ずつ、合計6個を選別します。

・形……平らな形と丸い形
・ヘタの色……ヘタが緑色と黄色
・表皮の油胞の大きさ……油胞が大きいものと小さいもの

糖度計で計測 条件にマッチしないミカン3個の平均糖度は12.2%

 検証条件に合う6つのミカンを選り分けたため、形などの条件に顕著性がないミカンが3つ残りました。初めにこの3つのミカンの糖度の平均値を測定します。糖度計を使った計測方法は次の通りです。

ミカンの白い筋をすべて取る【写真:Hint-Pot編集部】ミカンの白い筋をすべて取る【写真:Hint-Pot編集部】

【ミカンの糖度の計測方法】
1. 外皮をむき、雑味が混ざらないように房の白い筋をすべて取る

果汁を糖度計に搾る【写真:Hint-Pot編集部】果汁を糖度計に搾る【写真:Hint-Pot編集部】

2. 房の湾曲部分に包丁で切り込みを入れ、糖度計に直接果汁を絞り、糖度を計測する

 形、ヘタの色、表皮の油胞の大きさに顕著性がない3つのミカンは、糖度12%が2個、糖度12.5%が1個。糖度の平均値は四捨五入して12.2%となりました。これはミカン100グラムに12.2グラムの糖分が含まれていることを示しています。早生種の一般的な糖度は10%前後のようなので、かなり甘いミカンを入手できたようです。

○条件に顕著性がない3つのミカンの平均糖度:12.2%(編集部調べ、以下同)

その1:平らな形と丸い形のミカンを比較 平らなほうが甘い

 一つ目の検証は、形で見分ける方法です。比較するのは丸い形と、平らな形のミカン。形は品種によってさまざまですが、一般的に、丸い形よりも平らな形のほうがおいしいとされています。ミカンは成長過程により丸から扁平へと変形し、熟度が比例するからだそうです。

 とはいえ、見た目は丸い形も平らな形もおいしそう。実際に糖度に違いはあるのでしょうか。計測してみましょう。

丸い形のミカン【写真:Hint-Pot編集部】丸い形のミカン【写真:Hint-Pot編集部】

 まずは丸いミカンの糖度を計測します。むいてみると外皮は薄く、ミカンのさわやかな香りが広がりました。食べてみると甘く、酸味はほんのりと感じられる程度で、十分においしいミカンといえます。

 果汁を搾り糖度を計測すると、結果は糖度12.5%でした。先に計測した「条件に顕著性がないミカン3個」の平均値が12.2%だったので、それよりも高い数値です。

平らな形のミカン【写真:Hint-Pot編集部】平らな形のミカン【写真:Hint-Pot編集部】

 次に、平らな形のミカンの糖度を計測します。外皮の厚さや香りは、丸いミカンと変わりません。食べてみると、丸いミカンよりも酸味は弱く、甘みは強めです。実際に糖度を測定すると、糖度13%と高い数値がでました。

○丸い形のミカンの糖度:12.5%
○平らな形のミカンの糖度:13%

 検証の結果、丸い形のミカンよりも、平らな形のミカンのほうが、糖度の数値が高く食べてみても甘さを感じることがわかりました。一方で、果実のみずみずしさや香りなどに違いはほとんどありません。どちらもおいしいミカンでしたので、甘さを強く感じたい場合は平らな形、適度な酸っぱさが好みなら丸い形を選ぶ目安にすると良いでしょう。

その2:ヘタが緑色と黄色のミカンを比較 黄色のほうが甘い

 二つ目の検証は、ヘタの色で見分ける方法です。比較するのは、ヘタが緑色のミカンと黄色のミカン。完熟するとヘタが緑色から黄色に変わるそうですが、どのくらいの違いがあるのでしょうか。

ヘタが緑色のミカン【写真:Hint-Pot編集部】ヘタが緑色のミカン【写真:Hint-Pot編集部】

 ヘタが緑色のミカンの糖度を測定します。むいてみると、外皮が房にぴったりと張りついてみずみずしさを感じますが、酸っぱさを含んだフレッシュな香りがします。食べてみると、味は甘みと酸味が半々といったところです。

 果汁を搾って糖度を計測すると、結果は12%。平均値の12.2%よりも低い数値です。

ヘタが黄色のミカン【写真:Hint-Pot編集部】ヘタが黄色のミカン【写真:Hint-Pot編集部】

 ヘタが黄色のミカンをむくと、さわやかな香りはしますが酸っぱい香りはありません。食べてみると甘みがとても強く、酸味はほとんど感じませんでした。糖度を計測してみたところ、糖度13.5%。ヘタが緑色のミカンより1.5%も高い結果になりました。

○ヘタが緑色のミカンの糖度:12%
○ヘタが黄色のミカンの糖度:13.5%

 ヘタの色で見分ける方法は、糖度に顕著な差がでました。ヘタが緑色のミカンは酸味が強いため、実際の糖度よりも酸っぱく感じます。甘いミカンを食べたい場合は、ヘタの黄色いミカンを選ぶと、間違いがなさそうです。

その3:表皮の油胞の大きさを比較 小さいほうが甘い

 最後の検証では、表皮の油胞の大きさを比較します。油胞とは、表面にある小さなつぶつぶのことです。みかんのさわやかな香りは、このつぶつぶに含まれる精油成分から発せられるといわれています。油胞が小さく、数が多いほど甘いミカンとされていますが、気になるのは糖度の差です。

油胞が大きいミカン【写真:Hint-Pot編集部】油胞が大きいミカン【写真:Hint-Pot編集部】

 油胞の大きいミカンを見ると、油胞が不揃いでキメが粗いことがわかります。外皮をむいたところ、検証に使用したミカンのなかで、突出して酸っぱい香りがしました。食べてみると、驚くほど酸味が強く、同じ品種とは思えないほどです。

 果汁を糖度計で計測すると、結果は糖度11%。最も低い結果でした。

油胞が小さいミカン【写真:Hint-Pot編集部】油胞が小さいミカン【写真:Hint-Pot編集部】

 続いて、油胞が小さいミカンの糖度を測定します。油胞の大きさは、大きいものと比べて半分ほどで、数も多いです。むいてみると、酸っぱい香りは感じられません。食べてみると、甘さのなかにほど良い酸味を感じます。とても甘いというわけではありませんが、油胞の大きいミカンよりも甘いことは確かです。

 実際の糖度は12%。平均値よりも低い結果となったため、油胞が小さいミカンが甘いというよりは、油胞が大きいミカンのほうが酸っぱさを感じるといえそうです。酸っぱいミカンを避けたいときは、油胞の大きさを比較すると良いでしょう。

○油胞の大きいミカンの糖度:11%
○油胞の小さいミカンの糖度:12%

甘いミカンを見分けるにはヘタの色を確認

 以上の検証より、糖度計の計測で最も糖度が高かったのは、ヘタの黄色いミカン。実際に食べてみても甘みを強く感じました。ヘタの色はお店でも比較的確認しやすいため、甘さを見分ける方法としてとくにおすすめです。

 形の違いは品種にもよりますが、今回使用した熊本県産「肥のあけぼの」の場合は、丸い形よりも平らな形のほうが甘い結果になりました。糖度の差は0.5%でしたが、一番見分けやすい方法であるため、ミカン選びに迷ったときの判断材料にしやすいでしょう。

 油胞の大きいミカンは、使用したミカンのなかで最も酸っぱさを感じたミカンでした。そのため、表皮の油胞の大きさは、酸味の強さを見分けるのに適しています。

 これからの季節は、ミカンの品種が豊富になるため、選ぶ楽しさも増えますね。甘いミカンを食べたいときには、ぜひ見分け方を参考にしてみてください。

(Hint-Pot編集部)

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