防衛力強化へ、政府が全国38空港・港の整備・機能拡充を検討 鹿児島県内は2空港6港が対象に

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 徳之島空港で訓練をする自衛隊F15戦闘機=11月13日、天城町浅間

 政府が防衛力強化に向け整備・機能拡充する公共インフラの候補地として、鹿児島空港(霧島市)や徳之島空港(天城町)、鹿児島港(鹿児島市)など鹿児島県内8カ所を含む全国38空港・港湾を検討していることが5日、関係者への取材で分かった。自衛隊や海上保安庁が有事の展開や平時の訓練、国民保護などで使いやすくする狙いで、地元との協議や調整を進めている。
 県内の候補地はほかに川内港(薩摩川内市)、志布志港(志布志市)、西之表港(西之表市)、名瀬港(奄美市)、和泊港(和泊町)。国が管理する鹿児島空港以外はいずれも県管理。
 関係者によると、県には11月中旬、国土交通省や防衛省の担当者らが訪れた。国側は対象施設は検討中で確定していないとし、「年度末の予算決定までに政府の取り組みに対する合意がほしい」との説明があったという。
 南日本新聞が入手した資料によると、全国では宮崎や熊本も含む南西地域を中心に14空港、24港湾の計38カ所が検討されている。鹿児島は沖縄の12カ所に次ぎ多い。国は自衛隊・海保の訓練や緊急時に柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう、自治体の合意を目指している。一方、候補地は非公表で整備内容や活用方法の詳細も明かされず、透明性を欠いた進め方が地元の反発を招くことも予想される。
 政府が昨年策定した「国家安全保障戦略」では、自衛隊や海保のニーズに基づき空港・港湾を機能強化する方針が示された。
 空港では輸送機や戦闘機が利用できる駐機場の整備や滑走路延長、港湾では大型艦艇も接岸できる岸壁や航路の整備を想定。既存事業の促進や追加工事なども行うとみられる。また円滑利用に向け施設管理者とのルール作りも進める。対象施設は「特定重要拠点空港・港湾(仮称)」と位置付ける。
 整備費は2023年度から5年間で総額約43兆円を投じる防衛費とは別枠で、24年度以降、国交省予算に計上する見込み。
県「県民の理解必要」
 鹿児島県港湾空港課の佐多悦成課長は5日、取材に対し、国交省や防衛省などの担当者の訪問はあったとして、「何よりも県民の理解が必要。県としては国との意見交換を進める」と話した。会談内容や空港、港湾名などは「調整中と聞いているため、現段階では答えられない」とした。

整備・機能拡充の候補地となっている38の空港・港を地図で確認

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