震度5強程度の揺れ「当面の間」警戒 相次ぐトカラ列島地震の特徴は

吉沢英将2021年12月9日 15時50分

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会見する気象庁地震津波監視課の束田進也課長=2021年12月9日午後0時24分、東京都港区、吉沢英将撮影

 「当面の間、震度5強程度の地震に注意してください」

 9日午前11時すぎにトカラ列島近海で最大震度5強の地震が発生し、これを受けた気象庁の会見の冒頭で、束田(つかだ)進也・地震津波監視課長はそう訴えた。

 気象庁は、規模の大きい地震が発生した際に開く会見で、注意すべき防災事項として普段は「1週間程度、同程度の地震に注意が必要」と呼びかける。

 今月3日に山梨県東部・富士五湖紀伊水道で最大震度5弱の地震があったときも、この表現だった。過去の余震の統計に裏打ちされた表現だが、今回は違った。なぜなのか。

 束田課長は、トカラ列島近海でのかつての地震の起き方を示したグラフを、会見台のモニターに映した。「地震が続いて発生する場所であるとおわかりになると思う」。1995年以降、周辺では今回も含めて1カ月間で地震が頻発したケースが7度あったという。今回も、4日から9日正午までに震度1以上の地震が233回、相次いで発生している。

 トカラ列島近海での地震の特徴について問われた束田課長は「他の地震の事例のように大きな地震の後、時間とともに規模も小さくなり、発生間隔も延びて収束に向かうという起き方ではない」と答えた。周辺では「しばらく地震が続き、その中で大きいマグニチュードの地震も発生するという特徴がある」という。そういった状況を踏まえ、今後の揺れに備える期間の表現も変えたという。

 今回の地震は陸側のプレート(岩板)内で起きたものとみられているものの、束田課長は「なぜこの地域で頻発しているか、今の時点で言えることはない。火山がどう関わっているかはわからない」と話す。(吉沢英将)

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