鳥居くぐると眼下に拝殿 苔むす石段、流れる小川、木々に囲まれた境内…五感で味わう日本的「涼」 大浦・大山祇神社

苔むした岩や石段(右奥)が涼しげな大山祇神社=南さつま市大浦町

 苔むした岩や石段(右奥)が涼しげな大山祇神社=南さつま市大浦町

苔むした石段を下ると拝殿や境内が広がる=南さつま市大浦町の大山祇神社

 苔むした石段を下ると拝殿や境内が広がる=南さつま市大浦町の大山祇神社

 7月も中盤。暑い日が続き、クーラーのない所では頭がぼーっとしてしまうこともある。そんなときは涼しげな場所でリフレッシュ。鹿児島県南薩エリアの「涼を感じられる場所」を紹介する。
 苔(こけ)むした石段を下っていくと、くぼ地のような境内が広がり、拝殿の下には小川が流れる。鹿児島県南さつま市大浦町大木場地区の大山祇(おおやまづみ)神社。拝殿が鳥居より下にある珍しい形だ。苔に覆われた岩と木々に囲まれた境内には涼やかな風が吹き、30度近い気温をすっかり忘れさせる。
 「子どものころはよく野球をして遊んだ。昔はもっと青々としていて、いつも驚いたものだった」。地区自治会長の大木勝彦さん(63)は懐かしそうに語る。鮮やかな緑のカーテンが視覚的に体感温度を下げているのだろうか。しっとりした日本的風情が心地いい。
 ここでは毎秋、巨大草履を奉納する山神(やまんかん)祭りが開かれる。氏子2人が直径約2メートル、両足計約60キロの草履を履き、鳥居から社殿までを歩く。地区は平家落人の里とされ、「巨人がいる」と思わせて追っ手を退散させるため、峠に大草履を置いたのが祭りの起源という。
 祭りは大勢の見物客でにぎわうが担い手不足は深刻だ。現在の戸数はピークだった1980年代後半に比べ半数の約60戸となった。大木自治会長は「先祖から受け継いだ大事な祭りと聖地。守り続けたい」と熱く語った。

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