鹿児島県周辺の活断層 5カ所でM7超地震の発生可能性 未確認の断層多数 識者「どこでも大地震起こりうる。備えを」

鹿児島県周辺の活断層

 鹿児島県周辺の活断層

150キロ程度の活断層がずれ動いたとされる能登半島地震。輪島市では震度7を観測した=1月、同市堀町

 150キロ程度の活断層がずれ動いたとされる能登半島地震。輪島市では震度7を観測した=1月、同市堀町

 能登半島地震は半島沖の海底に存在する複数の活断層が動いたとされる。1995年阪神大震災を契機に発足した政府の地震調査研究推進本部は、マグニチュード(M)6.8以上の地震を引き起こす可能性のある活断層について、地震の規模や発生確率を予測。鹿児島県周辺では日奈久断層帯、人吉盆地南縁断層、出水断層帯、甑断層帯、市来断層帯が該当し、この5カ所すべてでM7超が発生する可能性が指摘される。
 未確認の断層は多いとされ、識者は知られていない所でも地震への警戒を呼びかける。
 能登半島地震は1月1日午後4時10分ごろ発生。M7.6と推定され、石川県輪島市と志賀町で震度7を記録した。断層が約150キロにわたって動いたとみられ、激しい揺れと津波による甚大な被害をもたらした。
 活断層は過去に地震を繰り返し、将来も起きると考えられる断層で国内に2000以上あるとされる。地表の断層は痕跡で確認できるが、海底の断層は音波探査に頼らざるを得ない。鹿児島大学大学院の小林励司准教授(地震学)は「海底の断層は過去の活動時期など確認できていないことも多い」と説明する。
 断層帯は大小の断層で形成され、その中の区間ごとに地震の規模など評価は異なる。県周辺で地震規模が最も大きいと推定されるのは、日奈久断層帯・日奈久区間、甑断層帯・甑区間、市来断層帯・甑海峡中央区間のM7.5程度。日奈久断層帯・八代海区間のM7.3程度、市来断層帯・市来区間のM7.2程度が続く。
 30年以内の発生確率が示されるのは、日奈久断層帯・八代海区間(ほぼ0~16%)、日奈久断層帯・日奈久区間(ほぼ0~6%)、出水断層帯(ほぼ0~1%)、甑断層帯・甑区間(0.3~1%)、人吉盆地南縁断層(1%以下)。
 このほか水俣断層帯、鹿児島湾東縁断層帯と同西縁断層帯、池田湖西断層帯などがある。
 M6.6だった1997年の県北西部地震では未知の断層の横ずれと考えられているが地表に断層は現れなかった。小林准教授は「未確認の断層によるM6~7クラスの地震はどこでも起こりうる」と強調し、備えの必要性を訴える。

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