かごしまこの1年 馬毛島、MQ9、日米訓練… 鹿児島で急速に進む防衛強化

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シリーズ「かごしまこの1年」、4回目は「安全保障」です。鹿児島で急速に進む防衛の強化。この1年の動きを振り返ります。
西之表市・馬毛島への自衛隊基地の整備とアメリカ軍の訓練移転。計画が浮上して15年になる今年、急展開を迎えました。
(岸防衛相・当時)「馬毛島における自衛隊施設の整備を決定しており、候補地ではないものと考えています」
国は1月、「候補地」としてきた馬毛島について「整備が決定した」と明言。計画反対を掲げ、去年当選した西之表市の八板俊輔市長は、地元への説明がなかったことに…。
(八板市長)「納得がいかない。いつの間にか決まっていた、みたいな」
しかし2月、八板市長が防衛大臣に提出した要望書には、再編交付金について「特段の配慮を要望する」と、計画容認ともとれる表現が。この頃から賛否を明言しなくなりました。
(八板市長)「この問題の賛否や同意の可否を述べることが市民の分断を助長する」
8月、国は島内の港の工事を開始し、基地整備に向けた動きはさらに加速。こうした中、市は9月議会で、国の求めに応じて島の小中学校跡地などの売却を議会に提案し、国は西之表市を再編交付金の支給対象としました。
(浜田防衛大臣)「米軍再編事業の円滑かつ確実な実施に資するとの判断に至った」
賛否を示さないまま、市有地の売却などを進める八板市長。その真意を問われると…。
(八板市長)「最善の選択を考えている」
Q.計画容認、基地建設へ取り組み進めると聞こえるが?
(八板市長)「そうは言ってない。(計画反対の)公約は常に私の頭の中にある」
今後、基地計画を巡る動きでポイントとなるのが、早ければ年内に公告=公表される環境影響評価の最終的な「評価書」です。防衛省が、評価書の公告後に基地工事を始める方針を示す中…。
(塩田知事)「県としては理解せざるを得ないとの考えに至った」
先に判断を示したのは、市ではなく県でした。
(八板市長)「知事には知事の立場がある。それはしっかり受け止める」
計画に反対する市民団体がリコール=解職を求める動きもある中、八板市長は早ければ年内にも示される環境影響評価の公告を、賛否を示す「ひとつの節目」としています。
大詰めを迎える馬毛島の基地問題。国が計画を急ぐ背景にあるのが、海洋進出を進める中国の存在です。県内では屋久島周辺で今年だけで、中国海軍の測量艦による領海侵入が4回確認されました。
(屋久島漁協 鮫島洋一参事)「多く入って来て、ちょっと不安」
これに台湾有事の懸念も高まり、鹿児島を含む南西諸島の防衛強化が重要とされる中、今年、鹿屋では…。
1月、アメリカ軍の無人偵察機「MQ9」8機を、鹿屋基地に1年間配備する計画が浮上。
(九州防衛局 遠藤敦志企画部長)「(中国軍への)警戒・監視活動の必要性が非常に高まっている」
配備に伴い、最大200人のアメリカ軍関係者が駐留する計画に、市民は…。
(住民説明会の参加者)「鹿屋では今回(1回の配備)で終わり?2回目は絶対にないと、約束できるか?」
(防衛省)「やるとしたら1年間と、米側と合意している」
不安の声も上がりましたが、7月、鹿屋市の中西茂市長は。
「国際情勢が厳しい中、無人機の一時配備は必要ではないか」
その後、塩田知事も容認を表明。県内で初めてのアメリカ軍の駐留が始まりました。そして、計画浮上から10か月、MQ9の運用が始まりました。
さらに今年は、離島防衛を念頭に日米の連携強化も進められ、8月、奄美大島での日米共同訓練では、ウクライナでも使われているアメリカ軍の最新のロケット砲システム「ハイマース」を初めて導入。先月の日米共同統合演習では、初めて徳之島が演習地となりました。
(徳之島町民)「(安全保障の)現実を見せつけられた感じ」
この1年で急速に防衛強化が進み、「防衛の最前線」とも言われる鹿児島の役割はますます大きくなってきています。

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