「国民の約2.6人に1人が高齢者」となる日本の「衝撃的すぎる未来」

「年金は破綻する」論を考える

老後の生活には、いくら必要になるのだろうか。

日本中に激震が走った「老後は2000万円が必要」という金融庁の報告書は、残念なから全くの現実である。

年金「最終警告」』は、絶対に知っておくべき年金の「嘘と本当」が書かれた必読書だ。

本記事では、「年金は破綻する」論を検証するため、年金と人口の関係についてくわしくみていく。

※本記事は島澤諭『年金「最終警告」』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。

反転する日本の人口

「年金は破綻する」論を検証するために国民皆年金が実現した当時の日本の状況をおさらいします。それにより、当時の状況と現在がいかに違うのかが良く理解できると思います。みなさんは国勢調査をご存じですか?

国勢調査の第1回は、1920年に実施されました。当時は、国の勢い、つまり国力は人口規模やその年齢構成にあると考えられていた時代です。ですから、国勢調査は、日本に住むすべての人・世帯を対象として行われていました。いまでは、総務省統計局が5年に一度実施しています。

国勢調査は、日本の姿を知る上で、とても重要な統計で、基幹統計の一つに指定されています。財政検証の基礎資料でもある「日本の将来推計人口」や「国民経済計算」などでも、国勢調査の人口が基礎資料として使われています。

国立社会保障・人口問題研究所が、最新の国勢調査をもとに将来の人口予測を行っています。(※1)それによりますと、 2029年に1億2000万人を下回った後も減少を続け、2053年には、9924万人と1億人を割り込みます。2065年には8808万人にまで減少すると予測されています(図1)(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)。

(※1)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2017年4月)。以下の数値は、出生中位・死亡中位推計結果です。将来推計人口は、将来の出生、死亡、平均寿命や国際人口移動などについて一定の仮定を設けて、日本の将来の人口規模や年齢構成等の人口構造の推移を推計したものです。

増える高齢者

問題は、人口が減ることだけではありません。

日本の人口減少は、高齢者が相対的に増えるなか、進んでいきます。しかも、高齢化率が安定化するのは、2050年代半ば以降からです。日本は、しばらく現役世代中心の社会から高齢者中心の社会への過渡期にあります(図2)(※外部配信でお読みの方は現代新書の本サイトでご覧ください)。

2018年では、高齢者数3558万人、高齢化率28.1%となっています。さらに、「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には、高齢者は3677万人に達すると見込まれています。その後も高齢者は増え続け、2042年に3935万人でピークを迎え、その後は減少に転じるものと推計されています。

総人口が減少する中で、高齢者数が増えるため、高齢化率は上昇を続けます。2036年に33.3%で3人に1人が高齢者となります。 2042年以降も、高齢者人口は減少に転じるのですが、高齢化率は上昇を続けます。そして、2067年には 38.4%とピークに達します。

実に、国民の約2.6人に1人が高齢者となる社会が到来するのです。ただ、日本の場合は、単に高齢化が進行するだけではありません。

高齢者は、74歳までの前期高齢者と75歳以上の後期高齢者に分けることができます。後期高齢者になりますと、身体の衰えが著しくなり、医療福祉、介護の対象となりやすくなります。

2018年には、前期高齢者1706万人、後期高齢者1798万人と、前年の前期高齢者1767万人、後期高齢者1748万人から逆転しています。その後も、後期高齢者は増え続けていきます。

総人口に占める75歳以上人口の割合は、2018年に、14.2%ですが、2065年には25.5%となります。なんと、約3.9人に1人が75歳以上になるのです。高齢者の中でも後期高齢者が増える「高齢者の高齢化」が今後の日本の高齢化問題なのです。

さらに【つづき】〈増えつづける高齢者、貧乏な現役世代、減りつづける子ども…日本の「厳しすぎる実態」〉では、日本の人口問題や経済状況をくわしくみていく。

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