66歳がん乗り越え 世界6大マラソン走破 治療で体力衰え一念発起 コロナで3年足踏みにもめげず

お気に入りのランニングコースで汗を流す高畦博さん=2日、鹿児島市与次郎2丁目

 お気に入りのランニングコースで汗を流す高畦博さん=2日、鹿児島市与次郎2丁目

世界6大マラソンを完走記念メダルを持つ高畦博さん

 世界6大マラソンを完走記念メダルを持つ高畦博さん

 市民ランナーの憧れ「世界6大マラソン」完走を、高畦博さん(66)=鹿児島市真砂町、会社員=が3月に達成した。53歳で発症した悪性リンパ腫を克服。ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、ロンドン、ボストン-。そして最後の一本となる東京マラソンを走り切り「シックス・スター・フィニッシャー」と呼ばれる完走者の称号を手にした。
 3月5日、東京マラソンのスタート地点・都庁前にいた。胸側には大会用、背中側には特別なゼッケンをつけた。ワールドマラソンメジャーズ(WMM)を構成する6大マラソン制覇にリーチがかかっていることを示すものだ。ゼッケンに気付いた周囲のランナーから祝福を受けながら、浅草やスカイツリーといった東京らしい景色を楽しんだ。
 元県庁職員で40代の時、同僚に誘われて「いぶすき菜の花マラソン」に初挑戦。その後、趣味の海外旅行が高じて「ベルリン」も走破した。当時はイベントを楽しむ感覚で、練習はほとんどしていなかった。
 転機は2010年、悪性リンパ腫を発症したことだった。半年間の抗がん剤治療を終えた時は、体力が落ちて歩くのもつらいほど。健康維持のため、ランニングが日課になった。スポーツジムにも通い始め「もう一度ベルリンを走る」ことに照準を定めた。
 15年、4時間32分でベルリンを完走。この時、6大マラソン制覇を目指す70代の夫婦に出会い「自分も」と新たな目標が決まった。
 16~19年は1年に1大会ずつクリア。新型コロナウイルスの影響で3年間の足踏みを余儀なくされたが諦めなかった。全レース5時間以内という目標も達成。「最後の東京は初めて楽しめた。体が動く限り走り続ける」。雄大な桜島が一望できるお気に入りの場所で、今日も足音を響かせる。

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