お寺との関係を孫に「引き継がせたくない」です。墓じまいにはいくらかかりますか?

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少子高齢化や都市部への人口集中により、墓じまいを考える人が増えています。先祖代々受け継がれてきたお墓ですが、手入れをする人がいなければトラブルの元となってしまうため、自分の代で墓じまいをしたいと考える方もいるでしょう。今回は墓じまいを考える方に向けて、具体的な手続き内容やおおよその費用を紹介します。

墓じまいは何をするの?

墓じまいの具体的な方法としては改葬(お骨の引っ越し)とお墓の取り壊し、自治体での書類手続きが挙げられます。

改葬(お骨の引っ越し)

現在お墓に入っているお骨は墓石を取り壊すと同時に移動が必要です。移動先は毎回法要を依頼するお寺の他、樹木葬や新たに納骨堂に依頼する方法があります。まずはお骨の移動先を探しましょう。なお、各種情報は自治体の窓口で相談も可能です。

墓の取り壊し

お骨の移動先が決まるとお墓の取り壊しを行います。お墓の取り壊しは業者によってさまざまですが、決して安い金額ではありません。また、取り壊し前には寺に依頼して「閉眼供養(魂抜き)」という供養をしてもらいましょう。

自治体で改葬手続きをとる

お墓の取り壊しや引っ越しと並行し、自治体で改葬手続きも必要です。東京都北区を例にあげると、まず自治体で「改葬許可申請書」を入手し、現在お墓がある墓地管理者に証明事項を記入してもらいます。そして、「改装許可申請書」を自治体に提出し、改装許可証を発行してもらいましょう。
その後、改装許可証を現在お墓がある墓地管理者に提示することで、お骨を取り出すことができます。あとはお骨を引っ越し先のお墓へと移して手続きが終了します。改葬手続きは何度か自治体に行く必要があるため、引っ越し先をできる限り近いエリアに設定するといいでしょう。

墓じまいにかかる費用は大きく異なる

墓じまいにかかる費用ですが相場を算出することは難しく、お墓の大きさや依頼する業者・寺によって費用が大きく異なります。
一例として株式会社H・S・Tが運営する「全国墓石・石材店情報」によると、100〜250万円が相場と言われています。この費用の差は、お墓の大きさや寺へのお布施が大きく変動するからです。お墓に入っているお骨が1柱だけの場合と10柱以上の場合では大きく費用が異なるため、普段法要をお願いしている寺に相談して具体的な金額を算出してもらいましょう。

【千葉県浦安市】ごく一部だが補助金が使える自治体もある

墓じまいはかかる費用が大きいため、資金の準備が必要です。しかし、自治体によっては墓じまいの費用負担を軽減する補助金を設けているところも見られます。今回は一例として千葉県浦安市の補助金を紹介します。申請により受けられる補助金の内容は下記のとおりです。

●墓地公園の通常墓所(1区画3.0平米)または小型墓所(1区画1.5平米)の使用許可を受けている方が対象。

●墓所に埋蔵しているご遺骨の改葬先として合葬式墓地を使用できる。

●対象者は改葬先の使用料を負担することなく、墓所を返還できる。

●墓所の返還に伴い、使用者とその配偶者が亡くなった場合に入るお墓として合葬式墓地を生前予約も可能。希望者は、生前予約1人につき使用料3万5000円を負担する。

●返還する墓所の墓石の撤去など、返還区画の原状回復にかかった費用は返還後に市から補助金(補助金額の上限は15万円)を交付される。

他にも、群馬県太田市や千葉県市川市など、ごく一部ではあるものの、墓じまいに関連する補助金を設けている自治体があります。墓じまいを検討する際は手続きとあわせて補助金の有無も問い合わせてみましょう。

墓じまいは生前に話し合おう

墓じまいは費用がかかり、また親族と話し合いが必要です。なかなか話し合うタイミングがなく、長年引き伸ばしてしまうご家庭もあるでしょう。
お盆やお正月など親族が集まるタイミングで「私の代で墓じまいをしようと考えている」と話題を出すと、子どもや親戚の考えを聞けるでしょう。ただし、費用は高額になるため事前に寺に費用を確認したり、お骨の移動先を複数見学に行ったりするのがおすすめです。

出典

千葉県浦安市 墓所返還者等支援事業

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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