きょらむん、ありがとう 奄美群島で最後の航海 共同組海運

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汽笛を響かせ名瀬港を出港する「きょらむん」と、最後の出港を見送る里見海運産業の従業員ら=12日午前8時ごろ、奄美市名瀬

共同組海運(本社鹿児島市、牛田篤志社長)の貨物フェリー「きょらむん」(2502トン)が12日、鹿児島―奄美航路の最後の航海で奄美大島名瀬港と徳之島亀徳港へ入港した。同船は新造船「つばさ」就航に伴い、同航路での運航を終える。名瀬港では荷役後、船舶代理店業務を担う里見海運産業(奄美市名瀬、里見宮寿代表取締役社長)の従業員が清水昭人船長(58)へ花束を贈呈。船内放送で「蛍の光」を響かせ、汽笛を吹鳴し別れを告げる「きょらむん」に、同社員らは大きく手を振り、最後の出港を見送った。

「きょらむん」は全長121メートル、幅16.5メートル。2013年3月1日に奄美群島へ初航海した。自動車や食料品、農産物などを積載し、鹿児島港と奄美群島間の物資輸送を支えてきた。

名瀬港で出港を見送った里見社長は「奄美を巡る船ということで、身近な存在と思ってもらえるよう島の方言を名付けられたと聞いた。進水式で見た姿は白く大きく、これまで見たどの船より洗練された形だと感じた」と就航当時を振り返った。

艤装時から同船に携わり、初航海時も船長として乗船していた清水船長は「台風接近時やしけの日も、島の方たちへ物資を届けるため頑張ってくれた。悪天候時は鹿児島港に戻ると、ほっとした気持ちになった。事故もなくきょうまでやってくれて、本当にありがとうという気持ち」と話した。

「きょらむん」は改装を経て、24年1月から福岡県博多港と長崎県の壱岐・対馬を結ぶ航路で「フェリーなぎさ」へと船名を変え、運航予定。

共同組海運の新造船「つばさ」は10月21日に奄美大島、徳之島、沖永良部島に初入港する。

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