高齢「孤独死」過去最多668件 鹿児島県警「コロナで家族の集まる機会減った…」2021年

2022/06/06 07:30

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 鹿児島県警が2021年に行った65歳以上の独居高齢者の検視数は693件で、過去最多だったことが5日、県警のまとめで分かった。このうち自殺の25件を除いた「孤独死」も668件と最多を更新した。県警は「新型コロナウイルスの影響で、家族で集まる機会が減ったという遺族の声を多く聞いた」と説明。福祉団体はコロナ禍での寄り添いの難しさを指摘する。
 捜査1課によると、変死などによる21年の検視総数は前年比46件増の1960件だった。この5年では、17年(2022件)、18年(1983件)と比べ減少した。
 一方、独居高齢者の検視は新型コロナの感染拡大が始まった20年は653件と過去最多になった。21年は40件増え、693件(男性425、女性268)に上った。誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」も前年より52件増え最多を更新した。死後数日が経過して発見されるなど損傷の激しい遺体は前年比42件増の186件あった。
 捜査1課の前田毅検視室長は「社会の中で孤立化や分断化が進んでいる傾向にある。高齢化の進展に伴い、高齢者の検視は今後も高水準で推移するのではないか」と分析している。
 県社会福祉協議会によると、県内43市町村社協のうち、37社協が高齢者の見守り活動をしている。20、21年は対面ではなく、電話による安否確認が増加。生きがいづくりを目指すサロン活動も自粛や縮小を余儀なくされ、元気な姿を直接見る機会が減ったという。
 感染対策を工夫してサロン活動を再開する地域も増えており、県社協地域福祉部の古市智子部長は「コロナを経験し、つながりの大切さを再認識した人は多い。異変に気付けるよう地域の民生委員や住民ボランティアと協力して孤独死を防ぎたい」と話した。
 20年国勢調査によると、鹿児島県の高齢化率は32.5%で1920年の調査開始以来、初めて3割を超えた。高齢者の1人暮らしは11万9020人。高齢者全体の23.5%を占め、全国平均の19%を上回っている。

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