南日本銀、公的資金150億円を9月末完済へ リーマン後の09年3月に注入、1年半前倒し

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9月末で公的資金150億円を返済する南日本銀行=鹿児島市

 南日本銀行は14日、リーマン・ショック後の2009年3月に注入を受けた公的資金150億円を今月末に全額返済すると発表した。注入後の利益の総額が150億円を超える見込みとなったため。注入と引き替えに発行した優先株の買い戻し期限の24年3月よりも1年半前倒しする。
 優先株を保有する整理回収機構に、本年度半期分の配当相当額を加えた約150億9100万円を支払い、30日に全株式を取得。即日消却する。関係当局の承認を得て14日の取締役会で決議した。
 返済によって同行単体の自己資本比率は3.1%程度低下し約8%になる。健全性の国内基準の4%を上回る水準は維持される。
 同行は08年のリーマン・ショックで、保有していた有価証券に巨額の評価損が発生。資本を増強し中小企業への貸し出し余力を高めるため、金融機能強化法に基づく公的資金を申請、注入を受けた。
 注入後は経営強化計画を策定し、中小企業への貸し出し強化や販路拡大支援に取り組んだ。昨年9月には地元企業を引受先とする新たな優先株85億円を発行し、貸し出し余力の増強に努めた。同行によると、中小企業向け融資残高は公的資金を受けた09年3月の約2500億円から、21年9月には約3800億円と52%増加した。
 回収機構が保有する優先株は24年3月までに買い戻さなければ、普通株式に転換され、1株当たりの価値が希薄化する。同行は早期の返済を目指していた。返済に向け今年6月の株主総会で、資本金と資本準備金各75億円を、その他資本剰余金へ振り替える決議をした。9月29日に効力が発生する。
 田中暁爾取締役総合企画部長は「返済後も安定的な収益基盤の確保と中小企業への貸し出しを通じて取引先の課題解決に役立つよう努め、地域経済の回復・活性化に貢献していく」と話した。

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