サツマイモ基腐病に強い新品種「みちしずく」 味、香り 焼酎原料コガネセンガンと同等 鹿児島県、24年度から本格普及へ

サツマイモ基腐病への抵抗性が高いとされる「みちしずく」=2022年12月、日置市の県立農業大学校

 サツマイモ基腐病への抵抗性が高いとされる「みちしずく」=2022年12月、日置市の県立農業大学校

新品種みちしずく(左)とコガネセンガンの蒸し芋。色も形もよく似ている=霧島市の県工業技術センター

 新品種みちしずく(左)とコガネセンガンの蒸し芋。色も形もよく似ている=霧島市の県工業技術センター

新品種「みちしずく」の焼酎を試飲する参加者=霧島市の県工業技術センター

 新品種「みちしずく」の焼酎を試飲する参加者=霧島市の県工業技術センター

 サツマイモ基腐(もとぐされ)病への抵抗性が高い新品種「みちしずく」の評価を確かめ、焼酎原料として普及を図ろうと、鹿児島県は6日、初の検討会を県工業技術センター(霧島市)で開いた。酒造会社や研究者、行政機関の約70人が試飲した。
 みちしずくは農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が2022年6月に発表、焼酎原料の主流「コガネセンガン」の代替品種として期待される。センターの安藤義則食品・化学部長が試験醸造の結果を報告。アルコール量や酸度、味と香りもコガネセンガンとほぼ同等だった。
 参加者は焼酎と生芋、蒸し芋の状態で、みちしずくとコガネセンガンを比較し、コップに採った焼酎や芋を口に入れ風味を確かめた。芋については、コガネセンガンに比べて「軟らかい」「甘みが少ない」などと指摘した。
 試飲した大口酒造製造本部長の上田次郎さんは「コガネセンガンにかなり近い。いつからどれほどの量が供給されるかが気になる」。白玉醸造の杜氏(とうじ)、山野大輔さんは「すっきりした香り。芋焼酎の初心者に好まれるのでは」と評価した。
 県農産園芸課は、県内メーカー89社へのアンケート結果を報告。回答した38社中29社が使用の意向を示したが、味や品質への影響を懸念する声もあった。木村規代・特産作物対策監は「24年度からの本格普及を目指している。ぜひ利用してほしい」と呼びかけた。
 基腐病は、サツマイモの立ち枯れや腐敗を起こす病気。全国に被害が拡大し、県内メーカーも減産に追い込まれた。

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