不便だけど美しい…船でしか行けないとっておきのビーチ「網代浜」 「秘境」求め県外から観光客が続々

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透明度が高い海を楽しむ海水浴客=南さつま市坊津町坊

 鹿児島県南さつま市坊津町坊の網代浜は、船でしか行けない陸続きのビーチだ。海水浴場のような設備は何もないが、自然のままの景観が美しい人気スポット。この夏、全国からたくさんの行楽客が渡航してマリンレジャーを楽しんでいる。
 鹿児島市の高校1年生、宅間聖斗さん、浜崎陵牙さん、橋本知弥さんの仲良し3人組は保護者2人と訪れた。地元の漁港で渡し船に乗り10分足らず。浜が近づき透明度が高い海が広がると、「エメラルドだ」と声が弾んだ。150メートルほどの白砂の砂浜で、後背は断崖。しきりに水しぶきを上げた3人は「船で来て秘境のような空間にいるわくわく感が何ともいえない。きれいな海で泳いで最高の気分」と笑顔がはじけた。
 唯一の渡し船業者の上山厚夫さん(75)によると、昔は徒歩で山を越え、貝などを捕りに来る人もいた。道がなく危険なため、船が登場して半世紀になる。現地では用足しができず船で港へ戻る不便はあるが、「人の手が入らずかえって価値が高まった」という。
 夏休み、上山さんの事務所の駐車場は県外ナンバーが目立つ。利用は1日平均50~60人を数え、3隻がフル稼働でピストン輸送中だ。料金(大人2000円、小学生以下千円、1歳未満無料)を一度払えば、トイレタイムなど何度でも送り迎えに応じる。

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