全国和牛能力共進会(全共) 重圧跳ね返し鹿児島勢が花形6区を初制覇 総合力で和牛王国の威信示す

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鹿児島県の代表牛の首席が決まり、喜びに沸く観客席=9日、霧島市牧園

首席を獲得し、観客に感謝する出品者ら=9日、霧島市牧園

 首席を獲得し、観客に感謝する出品者ら=9日、霧島市牧園

 第12回全国和牛能力共進会(全共)の審査最終日となった9日は、鹿児島県勢が快進撃を見せた。複数の牛をセットで審査する4、5、6区で次々に首席を獲得。特に種牛と肉牛計7頭を総合的に評価する“花形”6区(総合評価群)では初の頂点に上り詰めた。和牛王国の底力を示す結果に、関係者は「市場に活気が生まれる」と口をそろえて喜んだ。
 前回の宮城大会では、総合評価群は種牛が1位になったものの肉牛が8位にとどまり、総合成績は5位に終わった。
 鹿屋市の上別府種畜場が所有する種雄牛「安亀忠」で挑んだ今回、肉牛が先陣を切った。出品した江籠畜産の江籠範厚さん(53)は「プレッシャーが大きかった」と話す。午前8時過ぎに発表された順位は2位。ライバルと目される宮崎は5位だった。
 同じ種雄牛の子を繁殖・産肉能力の両面で評価するため、種牛4頭と肉牛3頭を審査する。それぞれ一定以上の水準が求められ難易度が高い分、首席を取れば優秀な牛がそろっている地域であることの証明になる。子牛を全国に出荷する鹿児島にとって市場のPRにもつながるため、何としても首席を獲得したい区だ。
 首席圏内の好スタートに関係者の期待が高まる中、JA鹿児島きもつきの牧口一幸畜産部次長(51)は冷静だった。「いつも通りやるだけ」と表情を引き締め審査に臨んだ。
 6区の等級決定は大会のトリ。他の部門に出品した農家も駆けつけ応援席から見守った。チーム鹿児島の期待を一身に受ける中、審査では日頃の牛の管理や調教の成果が発揮された。
 引き手の4人は手綱を巧みに引き、牛をじっと立たせ、美しさを審査員にアピール。最初に呼ばれたのは隣の宮崎県だったが、鹿児島県も2位に続いた。これまで苦手としていた肉牛も奮闘し総合で首席。まさに“総合力”を示した。
 上別府種畜場取締役で、種牛群に出品された雌牛2頭の管理も手掛けた上別府将さん(44)は「種牛群が2位だったのは正直悔しい」と声を絞り出した。
 ただ種牛、肉牛ともに好成績を並べ、首席に輝いたことで、優秀な種牛を多く抱え、高い飼養技術を持つという鹿児島の底力を見せた。上別府さんは「肝属地区の市場に全国から子牛を求めて多くの農家がやって来ることで、活気付けばうれしい」と話した。

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