宮崎県を事務局に神楽協議会、ユネスコ文化遺産めざす

大畠正吾2022年10月14日 10時15分

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高千穂の夜神楽

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 国の重要無形民俗文化財に指定されている20都道県の29神楽が参加した「全国神楽継承・振興協議会」の設立総会が11日、東京都国立能楽堂であった。リモートも含め、約160人が出席。各保存団体が課題を共有し、神楽の継承と存続に向けて協力することを決めた。

 参加したのは北海道の松前神楽、東京都の江戸の里神楽、愛知県の花祭(はなまつり)など。宮崎県内からは国重要無形民俗文化財指定を受ける米良神楽、高原の神舞、椎葉神楽、高千穂の夜神楽の4神楽すべてが加わった。これらの神楽を守る71の保存団体が正会員、地元自治体などが特別会員になった。事務局は宮崎県におく。

 協議会は今後、会報やホームページによる情報発信、研修会の開催、関係機関への要望などを進めていく。当面の大きな目標として、ユネスコ無形文化遺産の登録を最短で2026年度に実現させたいとしている。また、国の重要無形民俗文化財指定の残る11神楽についても参加を呼びかけていく。

 総会で会長に選ばれた「高千穂の夜神楽伝承協議会」の後藤俊彦・高千穂神社宮司は「神楽を伝える地域はいま、大きな困難に遭遇している。心を結集し、問題点を共有して元気を届けよう」と呼びかけた。河野俊嗣宮崎県知事も出席し、「神楽を世界に向けても発信し、われわれの宝を守っていこう」とあいさつした。

 九州で協議会に参加しているのはほかに、豊前神楽(福岡県大分県)▽五島神楽、平戸神楽、壱岐神楽(いずれも長崎県)▽球磨神楽(熊本県)▽御嶽神楽(大分県)。

 協議会は宮崎県が中心になって設立を準備してきた。県内には今年5月現在、22市町村に204の神楽があるが、後継者不足や集落人口の減少で存続が危ぶまれる神楽もあるという。県は13年度に「みやざきの神楽魅力発信委員会」を設置し、保存活動を開始。昨年7月には全国の保存団体に働きかけて協議会の設立準備会を立ち上げていた。(大畠正吾)

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