尖閣諸島の警備強化へ…大型巡視船が次々配備される鹿児島海上保安部、職員も6年で倍増

6隻目の6000トン型大型巡視船として初入港した「ゆみはり」を出迎える保安官ら=2023年12月6日、鹿児島市の鹿児島港谷山2区

 6隻目の6000トン型大型巡視船として初入港した「ゆみはり」を出迎える保安官ら=2023年12月6日、鹿児島市の鹿児島港谷山2区

大型巡視船の基地として拠点化が進む鹿児島港谷山2区=8日(本社チャーター機から撮影)

 大型巡視船の基地として拠点化が進む鹿児島港谷山2区=8日(本社チャーター機から撮影)

 大型巡視船が続々と就役する鹿児島海上保安部では増船に比例し、所属する海上保安官も増えている。6000トン型巡視船が初配備された2018年から6年で定員は倍増。管轄する第10管区海上保安本部は職員が住む宿舎の整備を急ぐ。
 昨年12月上旬、ヘリコプター搭載型の新造船「ゆみはり」(約6000トン)が鹿児島港谷山2区に初入港した。同保安部では、緊張が続く尖閣諸島(沖縄県)周辺領海の警備体制強化などを目的に、6000トン型の大型巡視船の就役が続く。18年の巡視船「しきしま」を皮切りに6年で計6隻となり、全国の海保で最多。谷山2区は最前線の同県石垣島に並ぶ国内最大級の拠点になりつつある。浜平清志保安部長は増強と拠点化が進む現状について、「尖閣諸島までの距離や緊張が続く情勢などを踏まえ、果たすべき役割が大きくなってきている」と説明する。
 18年度の職員数が256人だったのに対し、23年度は521人。うち約9割の483人が船員だ。10管人事課の塚野治専門官は「短期間にこれだけ増えるのは全国的にも異例」と語る。
 10管は23年9月、県農業試験場跡地(鹿児島市西谷山2丁目)の一部を県から購入する方針を表明。新たな宿舎の建設を計画する。10管によると、同6月現在、鹿児島市地区の国家公務員合同宿舎や自前の宿舎約140戸に、10管と同保安部の職員が居住。しかし既に満室状態で、今後約100戸が不足すると試算する。宿舎不足や立地場所が谷山2区から遠いため賃貸で暮らす職員も多い。高野政信経理補給部長は「転勤が多い保安官やその家族にとって、知らない土地での暮らしを支える住環境は大切。スピード感を持って対応していく」と話した。

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