尖閣警備 進む鹿児島の要衝化 まるで戦艦…機関砲やヘリ2機を装備 最新鋭の大型巡視船「あさなぎ」乗船ルポ 全国最多の6隻態勢へ

ヘリコプター格納庫や機関砲などを装備する巡視船「あさなぎ」=13日、鹿児島市の鹿児島港谷山2区

 ヘリコプター格納庫や機関砲などを装備する巡視船「あさなぎ」=13日、鹿児島市の鹿児島港谷山2区

〈関連〉40ミリ機関砲を説明する海保職員=13日、鹿児島市の鹿児島港谷山2区

 〈関連〉40ミリ機関砲を説明する海保職員=13日、鹿児島市の鹿児島港谷山2区

 鹿児島海上保安部に今年7月就役した大型巡視船「あさなぎ」(約6000トン)を見学した。中国船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県)周辺海域の警備強化などを目的に配備された船は、機関砲やヘリコプター格納庫などを搭載。関係者が「機動力を備えた最新鋭の船」と紹介する巡視船の機能は、まるで“戦艦”のようだった。
 乗船してすぐ、通路や階段の幅が広く、通りやすいことに驚いた。以前乗った巡視船は人とすれ違う時に狭さを感じたが、定員が60人と多いからか、他の巡視船と比べてゆとりある設計になっていた。
 最初に案内された甲板には、領海侵入した他国船への威嚇や火災船の消火などに対応するための装備が並ぶ。船首側には、遠隔操作できる放水銃や、海上を広範囲に撮影できる監視採証装置、40ミリ、20ミリ機関砲が設置。映画やアニメでも見た巨大な機関砲は、間近で見ると威圧感があった。
 船尾側には海、空から素早く出動し、海難者の早期救助に貢献できる体制が充実していた。本年度中に就役予定のヘリ2機を収納する格納庫や巡視船より速く航行できる搭載艇4機などを装備。搭載艇の速力を質問すると、「機密情報のため正確な速度は言えない」と返ってきた。詳細を明かせないのは、対他国船を想定しているからだろう。
 操舵(そうだ)室には、海上映像や船内機能の稼働状況を映し出す機器がずらり。周辺の船舶を検知するレーダーは、船の速力や進路に加え、国籍や船名も瞬時に分かる。便利な性能に驚いたが、他の巡視船にも取り付けられているという。技術の進歩を感じた。
 見学会があった今月13日、あさなぎが停泊する鹿児島市の鹿児島港谷山2区には、別の大型巡視船2隻も係留。桟橋に全長140メートル以上の船が並ぶ光景は艦隊のような迫力があった。同保安部には現在、6000トン級の大型巡視船が全国の海保で最多の5隻所属。本年度中に巡視船「ゆみはり」も加わり6隻となり、より拠点化が進む。

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