市長の見通しが甘かった…鹿児島市の北ふ頭サッカースタジアム構想「白紙」 関係者は「県としっかり連携して選定を」

(資料写真)鹿児島港本港区北ふ頭

 (資料写真)鹿児島港本港区北ふ頭

鹿児島市の2024年度当初予算案について説明する下鶴隆央鹿児島市長=13日、同市役所

 鹿児島市の2024年度当初予算案について説明する下鶴隆央鹿児島市長=13日、同市役所

 鹿児島市が計画する多機能複合型サッカースタジアムの整備地選定は13日、下鶴隆央市長が鹿児島港本港区北ふ頭の「白紙」を表明し、再び頓挫した。候補地断念は昨年6月のドルフィンポート(DP)跡地などに続き2度目。課題の多かった北ふ頭の断念に対して「妥当」との評価が聞かれた一方、見通しの甘さへの指摘や「県と連携を」「周囲と協議して」との注文も目立った。
 「北ふ頭はもともと難しいと思っていた」と話すのは、「We Love 天文館協議会」の牧野繁会長だ。港湾事業者の同意は結局得られぬままで、「今後は関係者と協議をしてから選定して」と訴える。鹿児島商工会議所の岩崎芳太郎会頭も「判断は遅かったが妥当な決断」と指摘した。
 北ふ頭は、物流と人の流れのすみ分けなどが課題となっていた。北ふ頭に航路を持つ奄美海運(同市)の本坊隆幸社長は「われわれとしては安全面が大前提だった」とし、撤回表明については「駐車場や混雑対策など課題は多かったので驚きはない」と受け止める。
 市議会の川越桂路議長は「DP跡地が難しくなった段階で立ち止まるべきだった」と話す。市議会はこれまでも整備が困難な旨を伝えてきたとし、急な方針転換に「積み上げてきた議論をどう捉えて判断したのか」と疑問視する。
 昨年12月、整備の可否を政治決断するよう塩田康一知事に提言した県議会総合政策建設委員会の伊藤浩樹委員長は「北ふ頭案のままでは停滞していた。前進だ」と評価。新たな候補地選定に向けて、「県と市がどう協力するか注視したい」と話した。
 下鶴市長は会見で、鹿児島ユナイテッドFCが年内にもJ1昇格が決まる可能性に触れ、新たな候補地で早期整備を目指したい考えを示した。同FCの徳重剛代表は「候補地検討の議論が加速することを願う」とのコメントを出した。

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