新型コロナとインフルエンザ「一気に増えた」 鹿児島県内で同時流行が本格化 医療関係者「今からでも遅くない。両方のワクチン接種を」

発熱患者を診察する医師(中央)=20日、鹿児島市の池田病院

 発熱患者を診察する医師(中央)=20日、鹿児島市の池田病院

 新型コロナウイルスの流行「第8波」が続く中、鹿児島県内では約3年ぶりにインフルエンザ流行発生注意報が発令された。医療機関の発熱外来には患者が急増。コロナとインフル両方に感染する患者も確認された。県や医療関係者は「同時流行」の本格化に警戒を強めている。
 「1月に入ってインフルエンザの患者が目立つようになり、ここ数日で一気に増えた印象だ。新型コロナとの同時流行は既に始まっている」。鹿児島市の「池田病院」の池田琢哉院長(76)は指摘する。
 発熱外来の患者は昨年12月が1日平均34人だったのに対し、今年1月は47人(19日時点)に増加。1週間前まではコロナとインフルの患者の割合が2対1だったが、現在は同程度になっているという。
 1月に入り、同時検査キットで陽性となる小児の患者も1人確認した。「まだ1例で分からないことが多いが、症状が特別重たいわけではなかった」と池田院長。インフルエンザの治療薬などを処方した。
■3季ぶり流行
 新型コロナは年明け5日に1日当たりの感染者としては最多の5209人を確認。その後は前週の同じ曜日を下回る日が目立つようになり減少傾向となっているが、千人を超える高い水準が続いている。
 インフルエンザは年末年始から患者の報告が増え、3季ぶりに流行期入り。15日までの1週間は92の定点医療機関当たりの患者数が10人を超えて13.57人となり、県は18日、「インフルエンザ流行発生注意報」を発令した。
 14保健所の中で名瀬保健所管内(奄美大島5市町村、喜界町)は定点医療機関当たりの患者数が40.60人と突出し、警報レベルの30人を超えた。
 奄美市の「むかいクリニック」は、正月明けから発熱外来だけで1日50人ほどに患者が増え、診療を一時制限せざるを得なかった。若い世代を中心にインフルエンザが急増し、「あっという間にコロナを上回った」と向井奉文(ともゆき)院長(73)。
 現状はコロナとインフルエンザの患者はほぼ同数。同時に感染した患者も2人診察した。20代と30代で症状は重くなかったが、「高齢者が同時感染すると非常に怖い」と警戒。「オミクロン株対応ワクチンを打っていれば高齢者でも症状が軽く、効果を実感している。今からでも遅くないので、コロナとインフルエンザの両方のワクチンを接種してほしい」と訴える。
■知事が危機感
 インフルエンザの流行期は例年1~2月がピークになる。塩田康一知事は20日、医療機関の負荷は既に相当高まっているとし、「同時流行でさらなる医療逼迫(ひっぱく)が懸念される。今まさに鹿児島の医療を守る大切な時期を迎えている」と強調。換気など感染対策をはじめ、検査キットや解熱剤の事前準備、平日昼間の医療機関受診への協力を呼びかけた。

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