来春引退のSL人吉、乗車可能な「動態展示」検討 人吉市長「観光の目玉に」

黒煙を上げながら疾走するSL人吉=8月20日、熊本市北区(石本智)

JR植木駅付近の丘陵地帯を走るSL人吉=7月17日午前、熊本市北区(鹿本成人)

 熊本県人吉市の松岡隼人市長は16日、来年3月に引退するJR九州の蒸気機関車「SL人吉」について、引退後は人吉駅で保存し、敷地内で動かして乗車や運転を体験できる「動態展示」を検討していることを明らかにした。同日開いた中学生向け子ども議会で答えた。

 松岡市長は「SLの動態展示は全国でも少なく、九州では唯一。新たな観光の目玉として、地域活性化につながる」と強調し「駅構内には、SLの向きを変えるための転車台や機関庫があり、SL人吉を中心とした利活用策を検討していきたい」と述べた。迫田浩二副市長は動態展示した場合の石炭に代わる燃料について、「限られた施設内を運行するため、動力は弱いが、空気圧縮式を検討している」と説明した。

 SL人吉は、2020年の熊本豪雨でJR肥薩線が不通になるまで熊本-人吉駅間を運行。同市では官民が一体となってJR九州に人吉駅での保存展示を要望している。(横山千尋)

蒸気機関車(SL)の進行方向を変えるJR人吉駅の転車台。後方は機関庫=16日、人吉市

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