水戸岡鋭治氏コーディネートの観光施設「笠沙恵比寿」(南さつま) 日清丸紅飼料に譲渡へ 水産用飼料の研究開発拠点に

2022/06/11 20:50

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漁業活性化と観光振興の拠点として建てられた笠沙恵比寿。有名デザイナーの水戸岡鋭治さんがコーディネートした=南さつま市笠沙町片浦

 鹿児島県南さつま市は10日、民営化を予定する市所有の観光宿泊施設・笠沙恵比寿(笠沙町片浦、休館中)の譲渡先候補法人を飼料生産・販売大手の日清丸紅飼料(本社・東京)とすることを明らかにした。同社は施設を水産用飼料の研究開発拠点とする方針。2024年4月の事業開始を目指す。
 市によると、同社は丸紅と日清製粉グループの子会社で1957年創業。全国に水産・畜産の拠点を持ち県内では鹿児島市に工場がある。資本金55億円、従業員約500人。
 計画では笠沙恵比寿の施設を実験、成魚・稚魚飼育、種苗生産、飼料開発の各施設に改修し、愛知県田原市の研究拠点を移転する。従業員15人のうち3人を地元から雇用する。
 笠沙恵比寿は2000年オープン。鉄筋コンクリート2階建て6棟があり、宿泊や浴場などの施設を備える。九州新幹線も手掛けた有名デザイナーの水戸岡鋭治氏がコーディネートした。指定管理者のJTBが運営していたが、20年度以降の契約更新を見送ったのを受け、市は民間譲渡を決めた。
 20年の公募では選定に至らず、今年1~3月の再公募で同社1社のみが応募。譲渡希望価格は約2104万円。市担当者ら選定委員会が事業の公益性、経営状況など審査した。白窪勝豊産業おこし部長は「事業形態はこれまでと異なるが、水産業が盛んな地元や県の水産振興に寄与する施設になると期待される。住民にも丁寧に説明して理解を求めたい」と話した。

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