習氏、「琉球」に異例の言及 台湾絡み日本を揺さぶり

中国の習近平国家主席=19日、北京(AFP時事)

中国の習近平国家主席=19日、北京(AFP時事)

沖縄県の玉城デニー知事=9日、東京都内

 【北京時事】中国共産党機関紙・人民日報が、習近平国家主席の「琉球」を巡る発言を紹介し、波紋を呼んでいる。沖縄県の玉城デニー知事が7月上旬に訪中するのを前に、台湾問題への関与を強める日本を揺さぶる意図もありそうだ。

 6月4日付の人民日報1面は、習氏が北京市郊外の史料館を視察した際の様子を報じた。視察で、習氏は15~19世紀に沖縄を治めた琉球王国に触れ、「(福建省の省都)福州市には(琉球の人々が滞在していた)琉球館があり、琉球との付き合いが深いことを知った」などと発言した。
 香港紙・星島日報によると、習氏が最高指導者になった後、琉球・沖縄に言及したのは初めて。視察では、明代の皇帝が琉球に派遣した使節に関する史料について、史料館の職員は「釣魚島(沖縄県・尖閣諸島の中国名)が中国に属することを記録している」と中国側の見解を強調した。尖閣の領有権を巡る習氏の発言は伝えられていない。
 習氏は1985~2002年に福建省で勤務し、同省の対岸にある台湾との統一への思いを深くしたと指摘される。日本が台湾問題への関与を強める中、沖縄に関連した発言をすることで、日本をけん制しようとする狙いがうかがえる。人民日報は、日本政府の尖閣国有化をきっかけに日中関係が悪化していた13年にも、沖縄の帰属は「未解決」と主張する研究者の論文を掲載した。
 玉城知事は7月上旬、日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平元衆院議長)メンバーらと共に訪中する。北京で同協会の日程を終えた後は単独で福州市を訪れる。玉城氏は6月8日の記者会見で、習氏の発言に関し「今後の交流発展に意欲を示したと受け止めている」と語った。

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