飲食店は銘柄選定の参考に。『第1回 酒屋が選ぶ焼酎大賞』発表、2部門で大賞の酒造も

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

10月4日、『第1回 酒屋が選ぶ焼酎大賞』の授賞式が開催され、芋・麦・米・黒糖・泡盛の各部門における大賞、優秀賞が発表された。酒屋が選ぶ焼酎大賞は、酒販店がその年に最も飲んでほしい本格焼酎を決めるイベント。コロナ禍で消費が落ち込む、飲食業界や日本酒・焼酎業界を盛り上げるため、今年初めて開催された。飲食店は、銘柄選びの参考にしてみてはどうだろうか。

【注目記事】飲食経験1年半で独立し、年商1億円超え! 富士喜商店、夢酒の羽染氏に聞く目からウロコの経営論

全国から139店の酒販店が参加し、273銘柄が推薦

酒屋が選ぶ焼酎大賞では、参加酒販店が部門(芋・麦・米・黒糖・泡盛)ごとに推薦する焼酎を選び、ブラインドテイスティングで評価。最高点が焼酎大賞、続く2銘柄が優秀賞に選ばれる。初開催となった今年は、全国から139店の酒販店が参加し、273銘柄が推薦された。7月4日に行われた審査会には、112名がブラインドテイスティングで焼酎を評価した。各部門の受賞銘柄を詳しく見ていく。

熊本の「豊永酒造」、麦と米の2部門で大賞を受賞

芋焼酎部門の大賞を獲得したのは、鹿児島「若潮酒造」の『GLOW EP05』。5年前に発売して以来、毎年、中身とデザインを変えている銘柄だ。今年は、基腐病が流行した影響で、急遽予定とは異なる芋で仕込みを行ったというが、審査をした酒販店からは「派手過ぎずナイスなバランス」と、バランスの良さが評価を受けた。若潮酒造の上村氏は、「焼酎の可能性というものを改めて自分たちも感じさせられた」と話し、「これからも焼酎の可能性を追求して、自分たちがワクワクしながら、皆さんにワクワクを届けられるようなお酒を造っていきたい」と語った。

今回、特に注目したいのが熊本の「豊永酒造」だ。麦と米の2部門で大賞を受賞したほか、米焼酎部門では優秀賞も獲得と、3銘柄が選ばれた。麦焼酎部門で大賞となった『麦汁』は、個性的な香りや味わいが楽しめる銘柄。より個性のある焼酎が欲しいという声を受け、年々バージョンアップしているという。酒販店からは「香り味わい共に、ローストした麦が余韻として残った」と評価された。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

一方、米焼酎部門で大賞を獲得したのが、『常圧豊永蔵』だ。授賞式に参加した豊永酒造の豊永氏は、常圧豊永蔵について「麦焼酎にも匹敵するような香ばしい香りでありながら、飲みやすいまろやかな甘みもある焼酎」と話す。また、「球磨そして米焼酎の魅力を我々がけん引していきたい」と意気込みを語った。

黒糖焼酎部門の大賞は、「奄美大島開運酒造」の『紅さんご』。酒販店からは「旨味が凝縮したラムレーズンのような甘さが、なめらかに口の中で滞留した」、「ラム感が強く面白い焼酎」との評価を受けた。奄美大島開運酒造の高妻氏は、「この賞がますます名誉ある賞になりますよう私たち蔵人が一丸となって紅さんごの品質を磨き上げ、お客様の手に届きますようこれからもお酒造りに精進してきたい」とコメントしている。

泡盛部門で大賞を受賞したのは、沖縄「米島酒造」の『星の灯』。米島酒造の田場氏はあいさつで、星の灯は「冷やでも飲めるようなお酒を造れないかと思いながら、いろいろと甘みを研究しながら造ってきた銘柄」と話した。酒販店からは「深くなめらかでしっかりとしたやさしい口当たり」、「熟成感ある少し重めの香りで、程よいボディからの豊かな風味と余韻が楽しめた」などの評価を受けた。

今回、大賞・優秀賞に選ばれた銘柄は次の通りだ。

【注目記事】コロナ禍でも「居酒屋文化守る」。三軒茶屋『赤鬼』、安心して語らえる酒場へ

【芋焼酎部門】
■大賞
GLOW EP05(若潮酒造/鹿児島)
■優秀賞
もぐら群青(さつま無双/鹿児島)
KAGOSHIMA 20(鹿児島酒造/鹿児島)

【麦焼酎部門】
■大賞
麦汁(豊永酒造/熊本)
■優秀賞
無一物 五年熟成(壱岐の蔵酒造/長崎)
屋久島大自然林 麦(本坊酒造 屋久島伝承蔵/鹿児島)

【米焼酎部門】
■大賞
常圧豊永蔵(豊永酒造/熊本)
■優秀賞
豊永蔵 無濾過 自我田(豊永酒造/熊本)
武の井 樫樽熟成(武の井酒造/山梨)

【黒糖焼酎部門】
■大賞
紅さんご(奄美大島開運酒造/鹿児島)
■優秀賞
あまみ長雲 40度(山田酒造/鹿児島)
壱乃醸朝日(朝日酒造/鹿児島)

【泡盛部門】
■大賞
星の灯(米島酒造/沖縄)
■優秀賞
直火請福(請福酒造/沖縄)
春雨マイルド(宮里酒造所/沖縄)

今回の「第1回 酒屋が選ぶ焼酎大賞」をきっかけに、新たな銘柄と出合った飲食店もいるのではないだろうか。初開催ということで、来年以降どのような銘柄が選ばれるかにも注目したい。

コメント