高校生不正関与疑い 個人間送金「慎重に」 県内金融機関、電子決済で注意呼び掛け

鹿児島県内の金融機関は個人間送金の被害防止に力を入れる(画像の一部を加工しています)

 鹿児島県内の金融機関は個人間送金の被害防止に力を入れる(画像の一部を加工しています)

 鹿児島県内の公立高校に通う多数の生徒が電子決済アプリを使って第三者から不正に送金させた疑いがある問題を受け、県内金融機関は個人間で送金する際の注意点をまとめたメールを利用者に送るなど、被害防止に力を入れている。
 県内に本社を置く金融機関で唯一、電子決済アプリを運用する鹿児島銀行は15日、「Payどん」会員約11万6000人に注意喚起のメールを送信した。ポイント還元キャンペーンを装い見ず知らずの相手に送金を促すなど全国での詐偽疑い事例を紹介。「面識のない相手や1回限りの送金相手は特に不審点がないか確認して」と呼びかけた。
 電子決済サービスは銀行窓口や現金自動支払機(ATM)に行かずに個人間での送金が可能。人目に触れない分、被害に遭うリスクは高くなりやすい。
 Payどんでは現時点で電子マネー送金絡みの詐欺被害は確認されていない。マネー・ローンダリング等金融犯罪対策室の藤川和彦室長は「今回の事案を含め、繰り返し注意を呼びかけ、被害を防ぐ意識を高めてもらいたい」と語る。
 8月以降複数の大手電子決済サービスと口座紐付けが可能になり、利用者が増える見通しの鹿児島信用金庫も「こまめに残高を確認し、自分の口座を守る意識を持って」と訴える。
 アプリ業者16社からの提供データを基にしたキャッシュレス推進協議会の統計では、決済アプリなどコード決済の2022年の送金件数は1億8194万件で、18年の257万件から急増。情報処理推進機構(IPA)が分析する「情報セキュリティー10大脅威(個人部門)」でも「スマホ決済の不正利用」が20年以降、4年連続で上位5位内に入っている。
 被害が高度化、巧妙化する状況を受け、金融庁はアプリ事業所に、新たな手口を踏まえた注意喚起やサービス見直し、不正利用を抑止できる上限金額の設定-などを推奨している。
 鹿児島県警生活安全企画課の後迫克章理事官は「便利さの裏には危険が潜んでいる。身に覚えのない請求やお金に関する連絡が来たら、まずは身近な人や相談機関に連絡を。被害に遭ってしまったら、少額であっても相談して」と話した。

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