鹿児島・米盛病院、クラファンで民間救急ヘリの支援募集中 全国唯一のドクヘリ補完

By Tadayuki YOSHIKAWA 

社会医療法人緑泉会米盛病院(鹿児島市)は、運用する民間救急ヘリ「Red Wing」(AW109、登録記号JA99KG)の支援をクラウドファンディングを用いて募っている。同法人では初のクラファン活用で、公的なドクターヘリを全国で唯一補完するRed Wingの存在を知ってもらい、年間億単位に上る費用の一部に充てたり、スタッフの士気向上につなげたいという。

米盛病院の民間救急ヘリ「Red Wing」(同院提供)

 今回のクラファンは目標額を1230万円に設定。手数料や消費税を差し引いた1000万円を修繕費の一部に充当する計画で、3月31日までクラウドファンディングサービス「READYFOR」で支援を募っている。Red Wingの活動目的や意義を多くの人に知ってもらうことで、医療スタッフのモチベーションを高めたいという狙いもある。

 リターンは3000円から設定。もっとも高い100万円のコースでは、約10分間のRed Wingのフライトに2人まで搭乗できる。

 緑泉会によると、民間の医療機関が自ら保有する救急ヘリは、Red Wingを含めて全国で2機しかなく、公的なドクターヘリを補完しているのはRed Wingのみ。民間救急ヘリは医療機関が運用費用を負担しなければならず、部品交換などの修繕費で年間約2000万円が必要で、整備費や燃料費、人件費なども合わせると、毎年億単位の費用が発生しているという。

 鹿児島県と緑泉会は、2014年9月に民間救急ヘリで県のドクターヘリを補完する救急患者搬送に関する協定を締結。翌10月からドクターヘリに重複要請があった際や、傷病者が多数発生した場合など、消防の要請により正式なドクターヘリとして補完活動している。

 鹿児島県は南北600キロと広く、有人離島も多い。遠方や離島の医療機関と米盛病院の間で患者を搬送する場合、陸路や船では時間が掛かり、患者の負担が大きく搬送が困難な場合にも、医療機関などの要請に応じてRed Wingで搬送している。

 Red Wingの出動件数は初めて年間300件を超えた2017年度が345件、2018年度が304件、2019年度が343件、2020年度が249件と推移している。

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