鹿児島県初の夜間中学校設置 県教委で検討進む「ニーズが存在」

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鹿児島県内初となる夜間中学の設置に向けて県教委が検討を進めている。戦後の混乱期を含め、義務教育を十分に受けられなかった人に教育の機会を確保するのがねらい。夏をめどに具体的な方針を示したいとしている。

 夜間中学は公立中学校の夜間学級のこと。国は各都道府県に1校は設置するよう求めており、昨年4月現在、15都道府県で40校がある。県教委は昨年11月に有識者からなる検討委員会を設置し、3回にわたって協議してきた。

 県教委によると、県内で最終卒業学校が小学校、または未就学の人が1万7978人いる。このうち戦後の混乱期に児童生徒だったと考えられる80代以上が1万6228人と9割を占める。

 県教委と市町村教委が昨夏、共同で実施した夜間中学に関するニーズ調査にははがきやウェブなどで387件の回答があり、136人が「夜間中学に通ってみたい」と答えた。

 このうち「中学校を卒業しておらず、卒業証書がほしい」と答えた人は7人と少なめ。一方で「中学校を卒業したが、十分に学べなかった」と答えた人が108人と大半を占めた。希望者の年代は31~40歳が30人と最も多く、次いで16~20歳が25人など50歳以下が75%だった。

 県内の小中学校の不登校者が約3千人(2021年度)と年々増えていることや、学習を希望する外国人もいるという状況も踏まえ、県教委は「夜間中学は潜在的なニーズが存在するものと考えられる」と分析している。

 今後、検討委では設置主体や設置場所を決めることにしている。義務教育課の担当者は「夏ごろには取りまとめ、設置時期も示せたら」と話している。(仙崎信一)

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