170年前、島津斉彬が食べた「殿様膳」再現 マイタケ、鶏肉、鮎…古文書に記された材料から推測 「手が込んでいておいしい」 蒲生

煮物の「しゅんかん」や、みそ仕立ての汁などが並ぶ「殿様膳」=姶良市蒲生のカフェらびゅう

 煮物の「しゅんかん」や、みそ仕立ての汁などが並ぶ「殿様膳」=姶良市蒲生のカフェらびゅう

古文書に残る食材と、「殿様膳」の料理を盛り付ける千葉しのぶさん=姶良市蒲生のカフェらびゅう

 古文書に残る食材と、「殿様膳」の料理を盛り付ける千葉しのぶさん=姶良市蒲生のカフェらびゅう

武家門を見学する町歩き参加者=姶良市蒲生

 武家門を見学する町歩き参加者=姶良市蒲生

 170年前に薩摩藩主・島津斉彬が蒲生を訪れた際に食べたと推測される「殿様膳」を、鹿児島県姶良市の日本遺産「蒲生麓」プロジェクトが再現した。料理自体の記録はなく、古文書に残る準備された食材を基に、郷土料理に詳しい霧島食育研究会理事長の千葉しのぶさん(59)が一汁三菜を基本にした献立に仕立てた。2月25日、町歩きイベントの参加者に振る舞われた。
 斉彬は嘉永6(1853)年、大隅や日向を1カ月半かけて視察し、鹿児島に戻る前日の12月24日、蒲生に宿を取った。「蒲生御仮屋文書」には、鴨や卵、木くらげ、舞茸(まいたけ)、山芋、里芋、葱(ねぎ)、人参(にんじん)、豆腐、漬大根など、その際に準備するよう指示された食材が列記。炭火で乾かした火取(ひどり)鮎やミカンも並ぶ。
 千葉さんは、当時の大名が食べた食事や郷土料理、季節などからメニューを推測。マイタケや鶏肉が入った鶏骨だしの「みそ仕立ての汁」、豚三枚肉やタケノコを使った煮物「しゅんかん」、「火どり鮎の甘露煮」、さつまあげ風の「魚飛龍頭」などの献立を作った。
 千葉さんは「藩主の食事なので、鹿児島らしいつけ揚げや祝いの席に使われる『こがやき』を入れた。食材をどの料理に使うか、昔の人の気持ちや郷土料理の基本に沿って考えた」と話した。
 武家門や大クスを巡る町歩きに参加した10人ほどが、古民家カフェらびゅうで「殿様膳」を楽しんだ。鹿児島市の主婦、前田和子さん(73)と児玉道子さん(66)は「豪華すぎず地味すぎず、手の込んだおいしい食事。お姫様気分を味わえた」と笑顔を見せた。

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