ANA客室乗務員が「兼業」 鹿児島・霧島に移住し地域の仕事と両立

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鹿児島県霧島市で働き始めたANA客室乗務員の井上梨緒さん(左)と堀真子さん=鹿児島県霧島市役所で2022年10月3日午後2時5分、梅山崇撮影

 全日空(ANA)の客室乗務員(CA)2人が10月から、鹿児島県霧島市に移り住み、市役所と製茶会社で働き始めた。新型コロナウイルス禍を機に、CAを続けながら、ゆかりのある地域の仕事を「兼業」する新しい働き方だ。

 2人は、父が鹿児島市出身の堀真子さん(27)と、母が同県志布志市出身の井上梨緒さん(25)。堀さんは市安心安全課に配属され、災害時の避難所運営やふるさと納税事務などに携わる。井上さんは霧島市内の製茶会社で接客やイベント運営、SNSによる情報発信を担う。

 多様な働き方を模索するANAのグループ企業「ANAあきんど」鹿児島支店が、霧島市に声掛けして実現。2人は半年間、霧島市に移住し、毎月10日間ずつ▽霧島市内で働く▽国内線のCAとしてフライトする▽休む――という兼業スタイルを実践する。

 3日にあった着任報告式で、堀さんは「新たな目線で避難所運営ができれば。市民に寄り添って活動したい」、井上さんは「好きなお茶を通して霧島の魅力を広めたい」と語った。中重真一市長は「今までにない視点で市政にアドバイスいただきたい」と期待を寄せた。

 ANAあきんどによると、同様の取り組みはコロナ禍での国内線の需要減を踏まえ、2021年度に山形や鳥取で始まった。藤崎美保・鹿児島支店長(55)は「地方での経験はANAに戻ってからも貴重。安定した事業になれば」と話す。

 こうした兼業以外に、ANA、日本航空(JAL)とも各10人程度が鹿児島県内の自治体などに出向する形で働いているという。【梅山崇】

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