「一生に一度は訪れたい」絶景の島! 全国38島上陸「離島マニア」ライターが本気で選んだ「トップ3」現地レポ

 2023年2月、国土地理院が36年ぶりに国内の離島の数を数え直した。すると、従来公表してきた6,852島の約2倍、14,125の島々が存在していることが判明した。さすが島国日本、という果てしない数だ。

 筆者は島旅が好きで、これまで38の離島めぐりをしてきた。美しい海や、のどかな景色もさることながら、本土から離れているその島々は、古くから独特の文化と風習を築いており、それらに触れるのがたまらなくおもしろい。また、そこで暮らしを営む人々との交流も魅力的だ。

 どの島もそれぞれの個性があり素晴らしかったが、その中でも特におすすめしたい上位3つの島を紹介する。

■おすすめの離島その1 〜筆者史上NO.1を誇る青い海はまるでニモの世界「加計呂麻島」(鹿児島県奄美群島)

 加計呂麻島(かけろまじま)は、2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県奄美大島のすぐ南にある人口約1,400人の小さな島。羽田、伊丹、福岡、鹿児島、那覇からは奄美空港までの直行便が出ていて便利である。成田と関空からはLCCも就航している。

 奄美空港到着後にバスか、レンタカーで2時間半南下して、古仁屋(こにや)という港まで行き、そこからフェリー、もしくは海上タクシーに乗り約20分程度で加計呂麻島に到着する。


フェリーに乗り遅れたため、海上タクシーを利用。タクシーに乗ればあっというまに加計呂麻島が見えてきた

 島にはコンビニやスーパーがなく、小さな商店がいくつかあるだけで不便ながらも、独特の魅力があった。小さな島ならではのアットホームな雰囲気で、民宿の人たちとすぐに打ち解けた。夜には奄美の新鮮な海の幸をともにし、楽しいひとときを過ごした。


筆者が一目惚れした実久ブルー。驚くほどの透明感である

 筆者は国内外含め多くの海を訪れてきたが、海の美しさでこの加計呂麻島に敵う場所は未だ見つけられていない。特におすすめの海は実久(さねく)海岸。サンゴ由来の白い砂浜に、地元の人々から「実久ブルー」と親しまれる青い海。


何もないからこそぼーっと海を眺められる幸せ


大自然が生み出す芸術的なグラデーションに目を奪われた

 水面に顔をつけると、目を疑うほどの透明感でどこまでも見渡せる美しい青い水と色とりどりのサンゴとたくさんの魚たち。まるで、海の冒険ファンタジーである『ファインディング・ニモ』の世界のようで、加計呂麻の海の魅力にすっかり心を奪われた。この世のものとは思えない幻想的な世界にきっと多くの人がハマってしまうだろう。


カメラに収まりきらない巨大な武名のガジュマル

 また、森の奥深くには「武名のガジュマル」があり、その神々しさは圧巻である。地元の人々から「ケンムン」と呼ばれる精霊のようなものが棲んでいると言われているが、そんな逸話が本当であってもなんら不思議ではないという気がしてくる。


樹齢300年以上のデイゴ並木がつづく諸鈍(しょどん)集落をゆっくりと歩く


第二次大戦中、日本軍が弾薬を格納していた倉庫

 あまり知られていないが、加計呂麻島には戦跡もいくつか存在する。安脚場(あんきゃば)には第二次世界大戦時の弾薬庫や防空壕の跡が残っていて、当時の様子を窺い知ることができる。展望台もあり、美しい奄美群島の景色を眺めることができるのでおすすめ。


安脚場展望台から見える絶景

■おすすめの離島その2 〜パワーをチャージするならこの島!「屋久島」(鹿児島県)

 1993年に白神山地とともに日本で初めて世界自然遺産に登録された鹿児島県の屋久島。2022年に阪急交通社が実施した「一生に一度は行きたい離島」ランキングでは、堂々の1位に輝く人気ぶりだ。


島の面積のうち約9割は森林で、いまだ豊かな自然環境が残る

 車だと1周するのに2時間ほどで回れる小さな島だが、島の面積のほとんどが森林で占められ、1,000mを超える山岳が45以上も連座する。この小さな島内に約2,000mの標高差があるため、海岸沿いではハイビスカスが咲く亜熱帯気候である一方、同時に山頂部は積雪が見られる冷温帯気候となり、「日本の縮図」だといわれている。この独特な気候と地形のおかげで古くから多様な生態系が育まれた。


ドライブしていると野生動物たちをよく見かける


ハートの形に見える屋久杉の切り株「ウィルソン株」は有名なフォトスポット

 屋久島といえば、日本で最も古く樹齢7000年を超えるとの説もある「縄文杉」が有名だが、今回はそれ以外のおすすめスポットを紹介しよう。


おとぎ話に出てくるかのような神秘的な苔の世界に思わず息を呑む

 まずおすすめしたいのが「白谷雲水峡」だ。まるでジブリ映画の『もののけ姫』の世界に迷い込んだような神秘的な苔の世界が広がっている。屋久島は年間降水量が全国1位と雨が非常に多い島だが、その恵みの雨を喜んでいるかのように、苔が青々と深まり、雨の雫が輝くのだ。

 アップダウンもそれほど多くないので、いつまでもどこまでも歩きたくなる景色が続く白谷雲水峡は、ファミリーにもぴったりだ。


ここを坂を下っていき、岩陰で着替えを済ませる

 そして、屋久島旅で最も印象的だったのは、平中海中温泉。1日2回、干潮前後2時間しか入れない温泉で、海の中から楽しむオーシャンビューは圧巻である。開放感でいえば日本一の温泉かもしれない。

 ただし、入るのには多少勇気がいる。この温泉は自然の中にあるので脱衣所はないし、混浴、しかも水着の着用はNG(タオルや湯浴み着はOK)。筆者も3秒ほど悩んだが、「こんな絶景温泉はここだけ!」と入ることを決断。岩陰でさっと着替えを済ませ、タオルを巻いていざ!


岩に囲まれた大小4つほどの温泉が楽しめる

 熱めのお湯につかり、波の音を聞きながらの湯浴みは最高だ。低い岩だけで隔てられており、海水が入ってきたり温泉が湧き出たりして温度が変わってゆくのは不思議だった。入浴入湯料金(こころざし)は200円で、PayPayで支払えるのも便利。特に夜の干潮時に行けば、満天の星空を眺めながら温泉に浸かれる。これぞ屋久島でしか味わえない贅沢な温泉で、時間を変えて何度も訪れたくなる魅力がある。


水も緑も美しくポストカードのような景色が続く


南国ならではのフルーツも美味しい

■おすすめの離島その3 〜日本の地中海! 何度でも帰りたくなる“あったかい島” 「小豆島」(香川県)


約800枚の大小の田んぼが折り重なった中山の千枚田は「日本の棚田百選」の一つ(撮影:佐野葉月)

 高松港から高速船で35分のショートトリップ。「日本の地中海」と呼ばれる小豆島は瀬戸内海で2番目に大きい島だ。1年を通じて温暖で晴れの日が多く、地中海性気候に近いといわれている。筆者の友人は、旅先の南フランスでの生活を大変気に入り、似た雰囲気を感じた小豆島に移住後、13年経った今も島暮らしを満喫している。


アート作品が島内の色々な所に見られ、島全体が美術館のよう

 数々の映画やドラマの舞台になったそのフォトジェニックな風景たちに、ついカメラを向けたくなる。透き通った海や緑が鮮やかな田んぼ、おしゃれなカフェ、レトロな昭和の学校を再現したロケ地など、インスタ映えするスポットも多い。

 不思議だったが、小豆島に初めて行ったときにとても懐かしい感じがした。見たことのない景色が広がっているはずなのに「ただいま」と言いたくなる、そして何度も帰りたくなる、そんなあたたかい島だ。


手延素麺とともにオリーブご飯はいかが?

 小豆島にはその風土を生かした豊かな食文化がある。まずはオリーブ。小豆島は日本で初めてオリーブの生産に成功したといわれており、オリーブを混ぜ込んだご飯が絶品だ。オリーブオイルはお土産にも人気である。

 また、400年の歴史を持つ素麺も名産品だ。小豆島の素麺は日本三大素麺の一つとされており、ツルツルしてのどごしが抜群なのでいくらでも食べられる。 


このもろみ蔵は重要文化財にも指定されている(撮影:ヤマロク醤油)

 小豆島に行ったなら、ぜひ醤油蔵の見学をおすすめしたい。島にはいくつかの醤油蔵があるが、ヤマロク醤油のもろみ蔵見学は予約なしで訪問OKで、職人さんが熱心に案内してくれる。


伝統を守り、受け継いでゆく職人さんたち(撮影:ヤマロク醤油)

 蔵に足を踏み入れた瞬間、醤油の香りが漂い、100年以上の歴史がある木桶の大きさに驚く。通常の醤油の熟成は約半年だが、ヤマロク醤油は4年かけて熟成されており、まろやかで風味豊かな味わいが楽しめる。見学の後には「利き醤油」を楽しむことができ、併設のカフェで醤油を使ったスイーツも味わえる。大切に受け継がれた伝統的な醤油作りと、その背後にある職人さんたちの情熱に触れることができる、貴重な体験だった。

・ヤマロク醤油
住所:香川県小豆郡小豆島町安田甲1607
電話番号:0879-82-0666

URL:https://yama-roku.net/

●【MAP】ヤマロク醤油付近

 3つの島を紹介してきたが気になる島はあっただろうか。日本には14,000以上の島があり、まだまだ奥が深い。未だ見ぬ景色を求め、今年はどこへ行こうか。

※この記事の情報は2023年8月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください

佐野 葉月さの はづき

大阪生まれ大阪育ち。旅が好き。旅で出会う、人や景色、におい、音、食べ物、文化が好き。
休みとなればすぐ飛行機でひとっとび。全国47都道府県を制覇、海外は20ヶ国を旅して回る。
夢は子連れで5大陸制覇。

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