「自衛隊基地」が事実上「米軍基地」になっていた…機密文書から明らかになった「信じがたい事実」

アメリカによる支配はなぜつづくのか?

第二次大戦のあと、日本と同じくアメリカとの軍事同盟のもとで主権を失っていた国々は、そのくびきから脱し、正常な主権国家への道を歩み始めている。それにもかかわらず、日本の「戦後」だけがいつまでも続く理由とは?

累計15万部を突破したベストセラー『知ってはいけない』の著者が、「戦後日本の“最後の謎”」に挑む!

※本記事は2018年に刊行された矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』から抜粋・編集したものです。

日本に在韓米軍基地が移される可能性

実は沖縄返還(1972年)の直前、駆け込みで本土から沖縄に米軍基地を移したように、朝鮮半島での緊張緩和と併行して、日本に在韓米軍基地が移される可能性がある。

そういうと、

「そんなことできるはずないじゃないか。沖縄にこれ以上新しい基地をつくれるものか。本土なんて、それ以上に無理だろう」

とあなたは思うかもしれません。

ところがそれができるのです。そうした魔法のような方法が現実に存在する。

というより、ちょうど半世紀前から、そのプロジェクトはすでに始まっているのです。それが「全自衛隊基地の米軍共同使用」計画なのです。

すべての自衛隊基地を米軍が使用することになる

米軍およびアメリカの軍産複合体がなぜ、こうした使用形態を今後すべての自衛隊基地に拡大したいと考えているかといえば、

○「自衛隊基地」という隠れ蓑によって、「米軍基地」への反対運動を消滅させることができる。
○ 同じく、基地の運用経費をすべて日本側に負担させることができる。
○ 今後海外での戦争で自衛隊を指揮するための、合同軍事演習を常に行うことができる。
○ 危険を察知したときは、すぐに撤収して日本国外へ移動することができる。

米軍にとって、いいことずくめだからなのです。

現在、日本の外務省の見解では、こうした米軍による自衛隊基地の使用は「地位協定・第2条4項b(ニー・ヨン・ビー)(*2)」によって認められた、正当な権利だということになっています。

したがって現在の自民党政権がつづくかぎり、今後もし、この形が全国に広がって、 すべての自衛隊基地を米軍が共同使用するようになったとしても、法的・政治的に抵抗する方法は、ほとんどないということになってしまうのです。

さらに連載記事〈なぜ日本だけが「まともな主権国家」になれないのか…アメリカとの「3つの密約」に隠された戦後日本の「最後の謎」〉では、日本が「主権国家」になれない「戦後日本」という国の本当の姿について解説しています。

本記事の抜粋元『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』では、核密約をめぐる日本政府のもっとも重要な報告書がじつは改ざんされていたという驚くべき事実について、資料とともに解説されています。ぜひ、お手に取ってみてください。

(*1)正確には「年間270日間は全演習場の最大65%を使う権利と、そのうちの30日間は100パーセントを使う権利」。詳しくは『「日米合同委員会」の研究』(吉田敏浩 創元社)を参照
(*2)日米地位協定・第2条4項b「合衆国軍隊が一定の期間を限つて使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定〔=合同委員会で結ばれる協定〕中に、適用があるこの協定〔=地位協定〕の規定の範囲を明記しなければならない」。わかりにくい条文ですが、同第2条1項aで〈米軍は新安保条約・第6条によって日本国内の基地の使用を許され、その協定は合同委員会で結ぶ〉となっているため、合同委員会で合意すれば、米軍は自衛隊基地を期間を定めて使用できるという意味です

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