アラフォー記者、鹿児島のガチの穴場を一人旅 ホントに誰もいない遊歩道…今話題のかぶと工房には映画・ドラマの甲冑ずらり

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 大谷翔平選手で話題となったかぶとと同型が展示されている。エンゼルスに寄贈された甲冑の腹部にはロゴマークがあしらわれている=薩摩川内市の「甲冑工房 丸武」

 南日本新聞など九州4紙は7月、旅をテーマにお勧めの穴場スポットのアンケートをした。そして、鹿児島県民の情報から厳選ツアー「ガチの穴場旅」を企画。詰め込みすぎた感じが否定できない1泊2日の弾丸旅行を記者(40)が体験してきた。
■本命の穴場
 まずはメジャーな観光スポット霧島神宮(霧島市)…、の近くにある霧島神水峡へ向かう。何でも「地球の歴史を体感できる」(同市・50歳女性教員)、「歩くと気持ちがいい」(同市・32歳女性会社員)とか。鹿児島市街地からだと、高速道路を使って1時間15分ほど。案内板が出ていたので迷うことなくたどり着けた。
 霧島川沿いに1.8キロの遊歩道が整備され、案内板に沿って進むと、すぐに心地のいい水音が聞こえてきた。猛暑日だったが、ここの一帯は涼しかった。
 木立を進むと、木製の展望台が見えてきた。川越しにどーんと待ち構えていたのは、溶岩が冷えて固まった「柱状節理」。貫禄が漂う。柱をいくつも束ねたようだ。788年、高千穂峰西側の御鉢噴火で流れたきたそう。火山県を象徴するような地形に畏怖を感じた。
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 この先も森林浴を楽しみながら、エメラルドグリーンの水面や渓谷、人工滝を観賞できた。すがすがしい気分だ。平日の午前中とあって誰とも会わず。日常の騒がしさから離れて落ち着けた。さすが穴場。
 足腰に自信がない人は、道中に複数の駐車場があるので車で巡ってもいいかも。せっかくなので、神宮に参拝して旅の安全を祈願。歩いたら小腹がすき、参道横にある「薩摩蒸気屋」で焼きたてドーナツを食べて次の目的地へ。
■縁起のいい穴場
 「今年1番のパワースポット」(日置市・59歳会社員男性)と勧められた、同市の大汝牟遅(おおなむち)神社へやって来た。ここから歩いてすぐの参道脇には、20本以上の楠が連立する一帯「千本楠」がある。
 実はこの場所、綾瀬はるかさん主演「精霊の守(も)り人」など数々のドラマやCMの撮影地としても度々登場している。中央に立つと360度囲まれた気分になる。雰囲気たっぷり。風も心地いい。ここで昼寝をしたらさぞかし気持ちよさそうだ。
 神社の創建年代は不明だが、ニニギノミコトが霧島に降臨後、しばらく宮居したとか。毎年11月23日の「伊作流鏑馬(やぶさめ)」奉納でも知られる。境内には、朱色が目を引く本殿だけでなく、妊娠・安産祈願の「子産み石」や縁結びの榊「連理の賢木(さかき)」など、縁起が良さそうなものばかり。
 中でも、本殿横に立つ大楠(くす)「願掛け御神木」は圧巻だ。樹齢千年以上、幹回り14メートル。新緑の葉が風に吹かれる姿が神々しい。願いごとを念じて3回なでたり、その手で不調な体の部位に触れたりするといいことあるとか。迷わず「心身の健康」を祈り、最近疲れが気になる目の周りを手で覆ってみた。御利益ありそう。
 宮司の國生護矢さん(75)によると、神社には霊感が強い人が好んで訪れるという。「人によって、いろんな姿の神様が見えるようだ。調子がよくなると喜ばれる」
■今話題の穴場
 旅は続く。次は米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手の活躍で一躍注目を集めたあの「かぶと」を作った工房だ。薩摩川内市の川内港近くにある丸武産業。展示館に入ると、チームに寄贈したものと同じモデルの甲冑(かっちゅう)が目に飛び込んできた。腹部の球団ロゴマークがかっこいい。撮影もできる。
 かぶとのデザインを再現したマフラータオルを製作したところ、6月の販売開始3週間で300枚が売り切れ、追加発注を急いだそう。頭に巻くと、本物をかぶった気分になれるとか。考案した社員の下口直人さん(53)は「これを巻いてアメリカまで応援に行くという人もいます」とうれしそう。
 展示館には、大谷かぶと以外にも数々の戦国武将をモデルにした甲冑がずらりと並ぶ。色も形もさまざま。木村拓哉さんが織田信長を演じた「レジェンド&バタフライ」や三谷幸喜監督の「ステキな金縛り」など、映画やドラマで使われた甲冑の同型も展示されており、ファンならきっとわくわくするはずだ。
 2018年10月にリニューアルオープンした園内では、職人が分業で甲冑を製作する現場がガラス越しに見学できる。しかも入場無料。
■穴場な離島
 いよいよ旅のクライマックス。鹿児島の離島と言えば、世界遺産の屋久島や奄美大島が有名だが、甑島の魅力も負けていない。2020年8月、甑大橋が完成して上甑・中甑・下甑3島がつながり観光しやすくなった。アンケートでも、甑島を推す声が複数寄せられた。
 現地にはレンタカーやタクシーが少ないため、車を持って行くことにした。フェリーで串木野新港(いちき串木野市)から上甑島の里港まで1時間15分ほど。高速船なら川内港から50分ほどで着く。
 かつての武家屋敷通りで、玉石垣群などが残る里地区の民宿に宿をとった。近海で捕れるタカエビやイシダイ、キビナゴなど地魚をたらふく食べて大満足。なんと言っても、島の芋焼酎との相性が抜群だ。でもさすがに飛ばしすぎたか、疲れた体にいい感じで酔いが回ってきた。1日目はここで終了。
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