中国女性「沖縄の島を購入」で物議 誰でも買える?“無人島ビジネス”の実態

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中国人の女性が、「沖縄本島から約20キロの無人島を買った」とSNSに投稿し、周辺住民などから不安の声があがる事態になっています。
女性は、山東省青島出身の34歳。金融業や不動産業を営んでいるそうです。購入目的を、このように説明しています。
島を購入したという中国人女性:「将来的に自分が住むか、子どもに残す。もし、良いデベロッパーに出会えれば、リースに出すこともできます。アラブの王子みたいな人に会えれば、売ることも考えられる。万が一、大金持ちの目に留まったら、島を買って彼女や子どもにプレゼントする可能性もあるよね」
外国人でも、日本の土地を買うことはできます。ただ、「沖縄県にある離島を中国人が買った」となると、機微に触れる問題になってきます。
13日の松野官房長官:「(Q.中国人女性が購入した屋那覇島について、政府として調査を行うか)ご指摘の屋那覇島については、領海基線を有する国境離島、または有人国境離島、地域離島に該当するものでなく、本法(重要土地等調査法)の対象とはなりません。政府としては、関連動向について注視していきます」
この無人島は屋那覇島という名前ですが、そこから1キロほど離れた伊是名島には、1300人が住んでいます。
伊是名島・観光関係者:「僕らとしては、永遠に無人島であってほしい」
伊是名島に住む人:「やっぱり中国の人が買ったら、向こうの領土になるって話も出てる。逆に迷惑ですよね。漁師も向こうで、もずくの養殖やってる」
中国人が買ったところで、中国の領土になるわけではありません。また、厳密にいうと、SNSに投稿していた中国人女性本人が、この無人島の所有者になったわけではありません。彼女は「親族が営む企業名義で購入した」と話しています。登記を見ると、東京都内に本社を置く中国とのビジネスや不動産投資を手掛ける会社が、2年前の2月に購入していました。
会社のホームページのドメイン名には『yanaha』とあり、事業内容には『沖縄県の屋那覇島取得して、現在、リゾート開発計画を進めております』とあります。ただ、人が暮らすために必要な上下水道やガスといったものは全くありません。
中国系企業が買ったのは、島の51%。ほかは村や個人が所有していたり、国有地になります。
屋那覇島の外周は5.3キロメートルで、広さは約70万平方メートル。沖縄県最大級の無人島です。ただ、区画が900以上に分けられ、地権者が数年おきに入れ替わり、億単位の抵当権が設定されていたりと、いわくつきの物件でした。地元の不動産業者は、こう話します。
沖縄ネット不動産・木村隆宏代表取締役:「前に2回ほど競売が行われている。実際には競売は“取り下げ”、中止という形になっている。(Q.沖縄の島が競売に出るのか)私の方で知る限りは、今までは記憶がないですね。無人島の土地が買えるとならば、言い値で買うという人も出てくるかも。登記の情報等から推測すると、おそらく3億円くらい」
島を購入したという中国人女性が14日、SNSに新たなメッセージを投稿しました。
島を購入したという中国人女性:「自分の本意は、美しい景色と心情のシェアだけだった。その人の人柄によって
目に映る景色も変わる」
◆外国人が日本の島を買うこと自体は、法律上、問題ありませんが、どういう仕組みになっているのでしょうか。
島に限らず、日本の不動産は、国籍関係なく誰でも購入できます。ただし、『重要土地等調査法』という法律があります。去年、運用が始まった法律ですが、自衛隊の基地や原子力発電所など、“重要インフラ施設の1キロの範囲”“国境に近い離島”は『注視区域』に指定され、国が土地などの所有者の氏名や国籍などを調査できます。特に重要性が高い『特別注視区域』では、一定以上の面積の土地などを売買する場合、氏名や国籍などの届け出を事前に提出することが義務付けられていますが、屋那覇島は規制の対象になっていません。
◆どのような人が、どのような島を買っているのでしょうか。
国内外20の無人島の販売を仲介しているブルーオーシャンポイントオーストラリア法人の佐藤政信代表は、「購入者の多くは日本人だが、海外からの問い合わせもあり、中国人が特に多い。ただ、沖縄など場所によっては、外国人からの購入を断っている」と話します。
日本の無人島は、6400ほどあるといわれていますが、佐藤さんによりますと、販売に適した無人島は100程度しかないといいます。数が少ない理由は“立地条件”が大切なためだそうです。アクセスのしやすさ、平地やビーチがあるか、さらに、島の所有権が明確かどうかも販売には重要だそうで、こうした条件を満す無人島となると、数が限られてくるといいます。
◆外国人が日本の島を買うというのは、安全保障の観点からみて、大丈夫なのでしょうか。
外交安全保障が専門の笹川平和財団・小原凡司上席研究員は「購入された無人島が安全保障上、機微な場所の場合は、注視を続ける必要がある。外国人の購入ケースが増えてくるのであれば、何らかの規制を考える必要がある」と指摘します。

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