干し柿のカビと白い粉の見分け方|食べたら食中毒になる?

干し柿

投稿者:ライター 井澤佐知子(いざわさちこ)

日本における乾果の代表、それが干し柿である。独特の甘さに豊かな秋の恵みを感じる干し柿であるが、これはカビではないかと不安になる外観を持つものもある。干し柿にカビが生えたらどうなるのだろうか。本記事では、カビの生えた干し柿とそうでないものの見分け方や、正しい保存方法を説明する。

1. もしかしてカビ?干し柿の白い粉との見分け方

日本の干し柿

干し柿は、一見するとカビのようなもので覆われていることがある。食べても問題のないその白い物体と、実際のかびとを見分けるにはどうしたらいいのか。その方法を説明する。

ふわふわは白カビ・ざらざらは柿霜

もともと干し柿には皮の表面に白っぽいものが浮き出ていることが多い。これは、ブドウ糖と果糖が混じり合い、結晶化したものである。柿霜(しそう)といわれるこの白いざらざらした成分は、美味しい干し柿の証でもある。いっぽう、白カビが生えた場合には柿霜のざらざらした感触はなく、ふわふわとしているのが特徴である。触れてみれば、その見分けは難しくない。

黒や緑の斑点はカビ

干し柿全体が黒色っぽく変わっても、これは柿に含まれるタンニンによる変色なので心配はない。しかし、斑点上の黒色や緑色の点の場合は、カビの胞子である可能性が高い。

2. カビの生えた干し柿を食べたら食中毒になる?

干し柿

年々生産が難しくなっているといわれる干し柿。入手した干し柿は、無駄にしないで食べきりたいというのは当然かもしれない。少々のカビであれば干し柿は食べることができるのか。それぞれのカビの特徴とともに説明する。

少量の青カビは取り除けば食べられる?

農林水産省では、2002年からかび毒による汚染がどの程度のものなのか調査を進めている。現在のところ、かびを食してしまうことによる人体への影響はそれほど多くないと報告されている。(※1)干し柿に付着している青いカビも、それが発生直後でありきれいに除去できるのならば、食することは問題ないという説もある。しかし、リスクがあることには間違いはないので、可能な限り避けた方が良いだろう。

白カビも有害である

柿霜との見分けが難しい白カビについても、食べることは推奨できない。健康に害を与える可能性があることはもちろん、そもそも風味自体が落ちてしまって美味しくないというのも理由のひとつである。白カビだと推測される場合には、食べるのはあきらめよう。

干し柿のカビの食中毒症状

前述したように、農林水産省ではカビによる人体への目立った弊害は認められていないとしている。(※1)しかしカビの種類によっては、嘔吐や下痢を引き起こすケースや、もあるという。(※2)また長期的な摂取の積み重ねが、がんの発生につながるという報告もある。(※2)誤ってカビの生えた干し柿を食べ体調がすぐれない場合は、医療機関に相談してほしい。

3. 干し柿のカビを焼酎やアルコールで除去する方法

白カビが生えた干し柿

干し柿に生えてしまったカビを除去するには、どのような方法があるだろうか。よく知られたカビの取り方としては、アルコール度が35℃を超える焼酎やホワイトリカーなどを使って、カビを取り除く方法である。または、包丁などでカビの生えた部分を切り落とすという方法もある。ただし、内部に繁殖している場合があることや、カビが人体に害を与える可能性がある以上、食べない方が無難であろう。

4. 干し柿のカビ防止対策

干し柿

自家製の干し柿を楽しむ家庭も多いだろう。その場合、作る段階からカビ対策をするとより長持ちする干し柿ができる。カビが生えないための干し柿の作り方から、保存方法までを説明する。

カビさせない干し柿の作り方

干し柿は、天日乾燥することで渋みが抜け、長期保存に耐える食材となる。自家製の干し柿を作る場合には、柿同士が触れ合わないよう、上手に組み合わせて乾燥させるとカビにくくなる。また乾燥前には、しっかりと柿の水分を除去しておくことも大事である。風通しがよく、日光が強すぎない場所で干すようにしてほしい。

カビさせない干し柿の保存方法

干し柿をカビから守って保存する場合には、高温多湿を避けて保管するのが適切である。冬に購入する干し柿は、温かい部屋に置くことで糖分がべたべたすることが多くなる。これ自体は問題ないものの、カビが発生しやすい環境になってしまうため、直射日光や高温、そして湿度には注意して保管してほしい。ラップにくるんで冷蔵庫に入れておくとなおよい。

カビ対策には冷凍保存もおすすめ

カビ対策のためには、干し柿の冷凍保存もおすすめである。干し柿を冷凍する場合には、ラップにくるんで冷凍庫に入れるだけである。いずれにしても、なるべく早い消費が好ましい。冷凍した干し柿は、常温で解凍するとべたつくケースが多い。冷蔵庫に移動させて解凍すると、美味しく食べることができる。

結論

秋から冬にかけて美味しく食べることができる乾果、干し柿。干し柿はカビやすいのが難点である。皮の表面に見える白い物質は、糖が結晶である場合が多いため、カビとの見分けは難しい。触感やにおいで見分ける必要がある。青色や黒色のカビは、取り除けば食べられることもあるが、食べない方が無難である。干し柿はカビないよう上手に保存して、最後まで美味しく食べてほしい。

(参考文献)

  • ※1.農林水産省「かびとかび毒についての基礎的な情報」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/kiso.html
  • ※2.食品安全委員会「カビとカビ毒」P.19-20 https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/sousyuhen.data/07.pdf
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