漂着軽石を資材に 鹿児島県、活用法を開発

白石昌幸2022年1月14日 9時30分

写真・図版

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 奄美群島などに漂着している軽石を工業製品などの材料として有効利用するため、県工業技術センターが軽石の効果的な塩分除去方法を公表した。軽石の重さの10倍に相当する水道水に2度漬けることで、軽石から塩分が溶け出す量を0・01%以下まで抑えることができるという。

 センターによると、軽石は軽量コンクリート骨材など工業製品の材料として使われている。JIS規格の基準(塩分溶出量0・01%以下)を満たす必要があるが、漂着軽石は細かな穴が無数に開いており、一度海水が染みこむと塩分が抜けにくいという特性がある。

 分析試料には沖永良部の和泊港に漂着した軽石を採用。漂着軽石には1%の塩分が含まれるため、これを工業製品への利用ができる塩分溶出量を0・01%まで除去する方法を検討した。

 軽石の重量の100倍に相当する量の水道水(軽石1グラムに対し水道水100ミリリットル)に24時間浸すと0・01%以下まで除去できた。さらに効果的な方法を検討したところ、軽石の重量の10倍に相当する量の水道水に12時間、2度浸すと同様に0・01%以下に除去できることがわかった。

 また、塩分を除去していない漂着軽石の利用方法については、保水性が良く植物の根付きが良いことから、屋上緑化などに使える緑化基盤ブロックへの加工や、汚染水からの放射性物質の除去処理に活用できる「ゼオライト軽石」の合成も期待できるとの考えを示した。

 センターは地元企業への技術移転も検討しており、瀬戸口真治所長は「回収して野積みされている軽石を有効活用しながら早く除去する情報を提供していきたい」と話す。(白石昌幸)

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