生ごみで風呂が沸く? 鹿児島市清掃工場と日本ガスが連携、精製メタンを都市ガスに活用 脱炭素化へ国内初の取り組み

〈資料写真〉日本ガス本社

 〈資料写真〉日本ガス本社

〈関連〉清掃工場にごみが運ばれてから都市ガスとして各家庭へ供給されるまでの工程をイラストで丸分かり

 〈関連〉清掃工場にごみが運ばれてから都市ガスとして各家庭へ供給されるまでの工程をイラストで丸分かり

 日本ガス(鹿児島市)は、同市の南部清掃工場と協力し、生ごみ由来のメタンを都市ガスに活用する国内で唯一の取り組みをしている。脱炭素化に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)への関心が高まる中、県外からも注目を集めている。
 2022年1月に稼働を開始した同工場は、生ごみや紙ごみを発酵させてメタンと二酸化炭素(CO2)が主成分となるバイオガスを作り出す施設を持つ。さらに二酸化炭素と不純物を除去して、都市ガスに使える純度の高いメタンに精製する。
 精製されたメタンは、日本ガスが鹿児島市から購入。500メートルほど離れた同社の工場にパイプで運び都市ガスとして家庭などに供給する。年間およそ150万立法メートルが活用され、同市内で利用される都市ガスの約1.5%に当たるという。化石燃料の液化天然ガス(LNG)に比べ、年間3000トンのCO2排出が削減される計算だ。
 県外のほかのバイオガス施設を持つ清掃工場では、メタンを燃やして発電するのが一般的だが、ガスとしての利用に比べエネルギーのロスが大きい。南部清掃工場は日本ガスの工場が近いため、輸送時のCO2排出を抑えられ、都市ガスとして効率のいい利用が可能になった。
 福永浩造場長(60)は「ごみの処理過程で発生するガスの有効活用は、市が掲げる『ゼロカーボンシティかごしま』の実現に向けた手段の一つ」と語る。
 ガス業界では日本ガス協会(東京)などが中心となり、化石燃料でないガスの利用によって削減したCO2排出量を証書として売買できる仕組み作りを進めている。日本ガスと南部清掃工場の取り組みは証書化の実証実験の対象となっている。
 同社の宮元龍一取締役(51)は「地域の資源を有効活用して新たな価値を生み出すことで、経済の好循環につなげられれば」と語った。

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