豚熱ワクチン予防接種 九州も解禁へ 最大産地の鹿児島では…打ち手の研修日程未定、他県に遅れ

image

 佐賀県での豚熱発生を受け、九州でワクチンの予防接種が解禁される見通しとなった。鹿児島は豚の飼養頭数が全国一で、円滑な接種には打ち手の確保が不可欠だ。制度上は昨年から県が認定する農場の生産者も打てるようになってはいるものの、県内では事前に県が実施すべき研修日程が決まっていない。すでに始まっている宮崎県などに遅れている。
 鹿児島県内の農場数は500を超え、飼養頭数は115万頭に上る。ワクチンの打ち手となる家畜保健衛生所の獣医師は約70人、農場などで働く民間獣医師も40人ほど。単純計算で1人当たり1万頭以上。県は速やかに完了させるため、生産者らによる接種を認めるよう国に望んでいた。
 国は防疫指針を変更し、昨年12月から研修を受けた生産者もワクチンを打てるようになった。豚熱ワクチンや制度に対する基礎知識や接種技術を学んだ上で、農場が接種計画やワクチンの管理体制などのチェックを受け、県の認定を受ける必要がある。
 佐賀での発生を受けた8月31日の緊急防疫対策会議で鹿児島県は、研修会の日程が固まっていないと説明し、出席した畜産関係者から早期実施を求める声が相次いだ。県によると、農場が多くワクチンの配送体制などが詰まっていないという。
 九州では、大分が8月25日に研修会を始めた。発生を受けてスケジュールを前倒し、9月8日には終える見通し。長崎は9月4~13日に実施する。鹿児島に次ぐ飼養頭数の宮崎も1日開始し、10月末までの完了を見込む。鹿児島県の担当者は「9~10月のなるべく早い段階で開催したい」と述べた。

コメント