防衛費増額「反対」は43市町村長の中で1人だけ 反撃能力保有「反対」も1人 安保3文書改定で鹿児島県内首長アンケ

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【関連表】南西防衛の主な強化

 【関連表】南西防衛の主な強化

 政府が閣議決定した安全保障関連3文書に明記された防衛費増額や反撃能力(敵基地攻撃能力)保有について、南日本新聞は鹿児島県内全43自治体の首長に賛否を尋ねるアンケートを実施した。防衛費増額は「賛成」12人(27.9%)、「反対」1人(2.3%)、「どちらとも言えない」26人(60.5%)。反撃能力保有は「賛成」10人(23.3%)、「反対」1人(2.3%)、「どちらとも言えない」28人(65.1%)だった。
 防衛費増額に反対と回答したのは大和村の伊集院幼村長。「国家予算の改革を優先すべきだ」とした。
 賛成は志布志、十島、さつま、湧水、中種子、宇検、瀬戸内、喜界、徳之島、天城、伊仙、与論の12市町村長。「戦争を避けるために必要」(上野俊市・さつま町長)「体制強化しないと国民の安心安全が守れない」(森田弘光・天城町長)などと答えた。
 反撃能力保有に反対したのは西之表市の八板俊輔市長。「専守防衛」を理由に挙げた。「緊張を高めることにつながる恐れがある。九州・沖縄への配備は反対」(荒木耕治・屋久島町長)との意見もあった。
 賛成は志布志、三島、さつま、中種子、宇検、瀬戸内、喜界、徳之島、伊仙、知名の10市町村長。抑止に必要との声が多かった。
 アンケートでは米軍の日本国内での法的地位を定める「日米地位協定」を改定すべきかどうかも尋ねた。「改定すべき」17人(39.5%)、「改定すべきでない」0人、「どちらとも言えない」23人(53.5%)だった。
 「改定すべき」とした首長からは、国民が納得できる変更を求める意見が目立った。「どちらとも言えない」の中では、「(米軍に)国防の協力を受けている限り、続けるべきだ」(川添健・長島町長)という意見もあった。
 出水、指宿、南さつまの3市長は「安保は国の専管事項」などとしてアンケートに回答しなかった。長島町は防衛費増額と反撃能力保有を巡り、「3択では回答できない」とした。
 塩田康一県知事は防衛費増額と反撃能力保有の賛否について「どちらとも言えない」、日米地位協定は「改定すべき」とした。
 【安保関連3文書】
 国家安全保障戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画(中期防)からなる。外交・安保戦略の指針として2013年に初策定された国家安保戦略では、自衛隊の海外展開を図る「積極的平和主義」を基本理念に明記。防衛大綱は10年間を想定して防衛力整備の指針や部隊運用などを定めているが、今回の改定で防衛目標の達成に向けた手段を包括的に示すことに焦点を当て、名称を「国家防衛戦略」に変える。中期防は対象期間を防衛戦略と合わせて5年から10年に変更し「防衛力整備計画」と改称する。

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