「相続後の実家、どうする?」5つの選択肢で解説!空き家放置のリスクも知ろうトラブル防止には、親が元気なうちの話し合いが大切

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親の死後、現金だけでなく実家などの不動産を相続することがあります。

実家のある地方から離れて暮らしている場合は特に、相続した実家の管理が負担になってしまう可能性が考えられるでしょう。

相続に備えて、実家の今後を親子で話し合っておくことが大切です。
そこで今回は、実家を相続した後の選択肢について解説します。
親が元気なうちにしておきたい対策についても解説しますので、将来的に実家をどうするのか家族で話し合ってみてください。

1. 実家を相続した後の選択肢には何がある?

ここでは、実家を相続した後の選択肢について解説します。

あらかじめ親と子どもなどで話し合い、実家の今後について方向性を決めてから計画を立てるとよいでしょう。

1.1 実家を相続した家族・親族が住む

実家に住み続けたい家族や新しく住む場所が欲しい相続人がいる場合は、実家で暮らす人に相続してもらう方法があります。
実家に住む人がいれば、その人に実家の管理をしてもらえるので空き家になりません。
家族で長く暮らしていた思い出のある実家を手放さずに済むメリットもあるでしょう。
ただし、不動産は分割することが難しいことから、相続財産の分け方によっては他の相続人が不公平だと感じることがあります。
そのため、相続人が複数いる場合に実家に住む人に相続させる場合は注意が必要です。

1.2 相続した実家を売却する

相続した実家を売却して現金化する方法もあります。

実家に住む人がいなくなり、活用する予定もない場合は、現金化することで公平に遺産分割しやすくなるでしょう。

また、要件を満たせば、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」により譲渡所得から最高3,000万円の控除が受けられる可能性があります。

詳しくは国税庁のWebサイトをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

相続した実家を売却する際には、相続登記を終えてからでないと売却活動はできません。

さらに、希望通りの金額・タイミングで必ず売却できるとは限らないことにも注意しましょう。

1.3 相続した実家を第三者に賃貸する

相続した実家をそのまま第三者に貸し出して運用する選択肢もあります。

借主がいれば家賃収入を得られるため、固定資産税や修繕費など実家の維持にかかる費用に充てることができることもメリットです。

ただし、実家を賃貸するにあたり、高額なリフォーム費用が必要となるケースがあることに注意しましょう。

1.4 建物を解体して土地活用する

建物の現状や土地の大きさなどの条件によっては、建物を解体して更地にしてから活用するのも1つの手です。

更地にすることで、駐車場として貸し出したり、賃貸アパートを新築したり、賃貸併用住宅を建てて居住したりするなど活用の幅が広がります。

土地によって向いている活用方法が大きく異なるため、土地活用をする際は最適な活用方法をしっかりと見極める必要があるでしょう。

1.5 相続放棄する

実家の売却や活用が難しい場合、相続財産の状況によっては相続放棄も選択肢として考えられます。

たとえば、相続財産に借金などの負債があり、相続するとかえって負担が大きくなってしまう場合などです。

相続放棄をすると実家だけでなくすべての相続財産を相続しないことになります。

ちなみに、2023年4月27日から相続等により取得した「土地」を国庫に帰属させることができる制度が始まります。

建物がある場合は対象外ですが、相続財産の中で土地のみを手放したい場合は検討してみてください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

2. 親が元気なうちにしておきたい対策とは

実家を相続してから悩まないように、できれば早い段階で今後の方向性や対策を考えておくことが大切です。

ここでは、実家の相続について親が元気なうちにしておきたい対策について解説します。

2.1 親の老後の希望をヒアリングしておく

不動産は相続財産の中でも分割しにくく、権利関係、管理の手間や費用など、相続にあたって考えなければならない項目が多々あります。
親の考えとして、このまま自宅に住み続けたいのか、住み替えを検討しているのかによっても方向性は大きく変わるでしょう。
まずは親の老後の希望をヒアリングして、今後の方向性について話し合うことが大切です。
その上で、今の段階でできる対策と相続後の対応についてどのような選択肢があるか検討してみてください。

2.2 資産状況を確認する

相続だけでなく親が突然倒れて入院した場合などに備えて、親の資産状況を把握しておきたいところです。

親の資産状況をまったく知らない状態の場合、急遽子どもがお金を準備しなければならない場面も出てくるでしょう。

相続となれば、仕事などで日々忙しい合間を縫って保有資産を確認し、相続人と遺産分割について話し合いをしなければなりません。

「預貯金」「株式」「不動産」「生命保険」「借入金」などの項目に分けて、プラスの資産とマイナスの資産の両方を確認しておきましょう。

金融機関や証券会社、生命保険会社、不動産の所在地など、資産がどこにあるのかだけでも把握しておくと、いざというときに保有資産を調べる手間を省くことができます。

また、法定相続人が誰であるかあわせて確認しておきましょう。

2.3 相続税の節税対策を検討する

生前贈与や生命保険の非課税枠を活用するなど、相続前からできる節税対策もあります。

遺言書を作成したり、不動産を購入した際の資料をまとめたりすることを検討することも大切です。

親と子どもそれぞれの現状や希望、資産状況に応じて、今からできる節税対策を検討してみましょう。

意見がまとまらない場合は、税理士などの専門家にも相談してみてください。

3. 相続した実家を放置するリスク

相続した実家を空き家のまま放置してしまうと、近隣住民に迷惑をかけてしまいトラブルに発展してしまう可能性が高まるでしょう。

人が住んでいない住宅は定期的に手入れを行わないと、あっという間に劣化してしまいます。

建物の倒壊リスクが高まったり、雑草や害虫により近隣に迷惑をかけたり、不審者が犯罪に利用したりする原因になりかねません。

また、十分な管理がされていない空き家として「特定空き家」に指定されると行政から指導や勧告を受けます。

勧告を受けた特定空き家は固定資産税の軽減措置を受けることができないため、支払う税金が約6倍に増える可能性があるのです。

さらに、行政からの命令に従わなければ50万円以下の過料が科される可能性もあります。

このように、相続した実家を空き家のまま放置してしまうことにはさまざまなリスクがあります。

空き家のまま所有する場合は、トラブルを未然に防ぐためにも適切に管理することが大切です。

管理が難しい場合は、定期的な巡回などを行ってもらえる空き家管理サービスの活用なども検討してみてください。

4. 後々のトラブルを防ぐために家族で話し合いをしておこう

今回解説したように、相続した実家の選択肢には実家に住み続ける他、第三者に売却もしくは賃貸したり、更地にして土地活用したりするなどの方法があります。

いずれの方法にしてもメリット・デメリットやかかる費用などが異なるため、親や子どもなどで今後の方向性についてしっかりと話し合いをすることが大切です。

相続対策について早い段階から考えることで、トラブルを回避しやすくなったり、節税につなげられたりする可能性が高まります。
相続される人、相続する人どちらの意見もしっかりとくみ取り、解決策を探していきましょう。
意見がまとまらない場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談してみてください。

※この記事はLIFULL HOME’S 不動産投資コラムより提供を受けたものです。

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