尖閣の上空映像初公開 急激に環境悪化か 石垣市長「早急な対応必要」

魚釣島の上空調査ためドローンを操縦する東海大の調査チーム=30日午前、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島沖合

魚釣島の上空調査ためドローンを操縦する東海大の調査チーム=30日午前、沖縄県石垣市の尖閣諸島・魚釣島沖合

沖縄県石垣市は31日、同市の尖閣諸島魚釣島で1月30日に初めて実施したドローンによる上空調査の映像を一部公開した。中山義隆市長が会見し、魚釣島の山肌が崩落するなど自然環境が急激に悪化している現状を説明。「早急な対応が必要」と話した。調査チームの山田吉彦・東海大教授(海洋政策)も映像をもとに「生態系を維持できない島になりつつある」と述べ、危機感をあらわにした。

同市による尖閣周辺の調査は昨年に続き2回目。市の委託を受けた東海大の調査チームが29~30日に複数地点で海水の塩分濃度などを観測したほか、30日に初めて上空調査を行い、ドローンを飛ばして海岸沿いを撮影した。

調査に同行した中山市長は会見で「上空調査によりがけ崩れや漂着ゴミの状況を確認することができた」と成果を強調。ただし「昨年の調査で目視した時より緑が少なくなっていると感じた」とし、上陸しての本格調査が必要であるとの認識を示した。

魚釣島では昭和53年に政治団体が持ち込んだヤギが繁殖し、草木を食べ尽くすなどの被害が指摘されている。調査チームの山田教授は「草木が減ったため山が水をためる能力を失い、崩落が急速に進んでいる。漂流ゴミも多く、危機的な状況といえる」と話した。

一方、調査中に中国公船が領海に侵入したが、海上保安庁の巡視船が調査船をガードして寄せ付けなかった。中山市長は「しっかり協力していただいた」と謝意を示した。

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