鹿児島県本土最大級のテーブル状サンゴ死滅か 海水温上昇し白化、砂積もり藻類が生え… 阿久根・桑島周辺

白化して表面に藻類が生えたミドリイシ(2022年12月9日)=阿久根市の桑島周辺(出羽慎一さん撮影)

 白化して表面に藻類が生えたミドリイシ(2022年12月9日)=阿久根市の桑島周辺(出羽慎一さん撮影)

白化する前のテーブル状サンゴのミドリイシ群生=2010年、阿久根市の桑島周辺(出羽慎一さん提供)

 白化する前のテーブル状サンゴのミドリイシ群生=2010年、阿久根市の桑島周辺(出羽慎一さん提供)

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 鹿児島県阿久根市の桑島周辺海底に広がる県本土最大級のテーブル状サンゴ、ミドリイシの群生が、海水温上昇による白化で死滅の危機にあることが水中写真家出羽慎一さん(53)=鹿児島市=の調査で分かった。2022年11月上旬、生きたサンゴが海底を覆う割合「被度」が5%程度に下がっているのを確認。12月も回復が見られなかった。
 出羽さんは、環境省の定点調査「モニタリングサイト1000」で、県本土沿岸のサンゴ礁18地点の被度を調べている。桑島周辺は2.5〜3メートルのミドリイシが東西約250メートル、南北約1キロに群生する。15〜21年の被度は、台風被害があった20年を除き、50〜60%で推移していた。
 22年11月5日の調査では白化したミドリイシの上に砂が積もり藻類が生えていた。12月上旬も回復は確認されず、ほぼ死んだとみられるという。
 白化は、サンゴの体内に共生して栄養を供給する「褐虫藻」が、海水温上昇などのストレスを受けて抜け出るのが原因とされる。海水温が29〜30度の状態が長時間続くと起こり、長期化すると死滅する。県水産技術開発センターのまとめによると、桑島の南方にある甑海峡の水温は8〜9月、平年を1〜3度程度上回る29〜30度台が続いた。
 桑島周辺は、かつてホンダワラなどの海藻が生えていた。阿久根市赤瀬川の素潜り漁師根比幸二さん(59)は「海水温の上昇で14、15年ほど前からテーブル状サンゴが増え、海藻がなくなった。以前はいなかったハタ類やハリセンボンなどの魚が見られるようになった」と話す。
 出羽さんは「海水温の上昇で広がったサンゴが、さらなる上昇で白化して死に至っている。回復には長い時間がかかるだろう」とみている。

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